aleglitazarによる短期的治療が、2型糖尿病患者のHbA1cを改善

提供元:ケアネット

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公開日:2009/07/23

 



PPAR-αとPPAR-γのデュアル作動薬であるaleglitazarによる2型糖尿病患者の短期的な治療は、安全性と有効性プロフィールの良好なバランスを示し、より長期の治療でさらなる効果が期待できることが、アメリカCalifornia大学San Diego 校のRobert R Henry氏らが実施した第II相試験(SYNCHRONY試験)で判明した。PPAR作動薬については、心血管系に対する有害な作用の可能性を示唆する報告があるが、それにもかかわらず2型糖尿病における心血管疾患リスクの低減という有望な作用への関心は失われていないという。Lancet誌2009年7月11日号(オンライン版2009年7月8日号)掲載の報告。

4種類の用量を含む6群に割り付け




SYNCHRONY試験の研究グループは、aleglitazarの血糖低下作用、脂質低下作用、安全性プロフィールおよび治療用量の確立を目的に、二重盲検無作為化第II相試験を実施した。

7ヵ国47施設から、未治療あるいは既治療(経口薬1~2剤まで)の2型糖尿病患者が登録された。プラセボを用いた単盲検による4~5週間のrun-in期間ののち、332例が16週間にわたり二重盲検下にaleglitazar 50μg、150μg、300μg、600μg/日、プラセボを投与する群(各群55例ずつ)、あるいはレファレンス群として非盲検下にピオグリタゾン(商品名:アクトス)45mg/日を投与する群(57例)に無作為に割り付けられた。

有効性に関する1次エンドポイントは、ベースラインから治療終了までのHbA1c濃度の変化とした。少なくとも1回の投与を受け、ベースライン後に評価が可能なHbA1c測定を1回以上受けた症例が解析の対象となった。

HbA1cは用量依存性に有意に低下、より長期の治療でさらなる効果が期待される




6例が有効性解析から除外された。プラセボ群との比較におけるaleglitazar投与群のHbA1cのベースラインからの変化は、50μg群の-0.36%(95%信頼区間:0.00~-0.70、p=0.048)から600μg群の-1.35%(同:-0.99~-1.70、p<0.0001)まで用量依存性に低下し、いずれの群も有意差を認めた。

経時的なHbA1cの変化の傾向を見ると、aleglitazarの効果は16週の治療ではまだ最大には到達していないことが示唆された。

aleglitazar投与群では、用量依存性に浮腫、血液希釈、体重増加の頻度が高くなった。しかし、300μg以下の群ではうっ血性心不全は見られず、浮腫の頻度はプラセボ群と同等で(50μg群:1例、150μg群:2例、プラセボ群:3例)、ピオグリタゾン群(4例)より少なかった。体重増加の程度も150μg群は0.52kgと、ピオグリタゾン群の1.06kgに比べ低値であった。

著者は、「aleglitazarの安全性と有効性のプロフィールのバランスは良好であり、これは本薬剤の短期的臨床データが有望なものであることを示しており、第III相試験の実施に向け優れたエビデンスを提供する」と結論している。なお、2010年2月、急性冠症候群および2型糖尿病の患者を対象に、心血管疾患への罹患や死亡の2次予防におけるaleglitazarによる長期治療の有用性を評価する大規模な第III相試験への患者登録が開始される予定だという。

(菅野守:医学ライター)