段階的弾性ストッキングは脳卒中後の深部静脈血栓を予防しない

提供元:ケアネット

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公開日:2009/06/18

 



大腿部までの長さの段階的弾性ストッキング(GCS)の着用は、脳卒中後の深部静脈血栓(DVT)のリスクを低減しないことが、イギリスEdinburgh大学臨床神経科学部のMartin Dennis氏らが実施した無作為化試験(CLOTS 1)によって明らかとなった。脳卒中後は一般にDVTや肺塞栓症が見られるが、手術を受けた患者を対象とした小規模な試験においてGCSによるDVTリスクの低減効果が確認されている。エビデンスとしては十分でないにもかかわらず、脳卒中ガイドラインはこれらの知見を外挿して脳卒中患者に対するGCSの使用を推奨している。Lancet誌2009年6月6日号(オンライン版2009年5月27日号)掲載の報告。

GCSのDVT低減効果を検証する無作為化対照比較試験




CLOTS(Clots in Legs Or sTockings after Stroke)1の研究グループは、大腿部までの長さのGCSによる脳卒中後のDVTの低減効果について評価するための無作為化対照比較試験を行った。

2001年3月~2008年11月までに、イギリス、イタリア、オーストラリアの64施設から急性脳卒中発症後1週間以内に入院し、活動不能な状態の患者2,518例が登録された。これらの患者は、中央無作為化システムによってルーチン治療と大腿部までのGCSを着用する群(1,256例)あるいはルーチン治療のみを施行しGCSは使用しない群(1,262例)に割り付けられた。

登録後7~10日および25~30日に、治療の割り付けを知らされていない技師によって両足の圧迫Doppler超音波検査が施行された。主要評価項目は、膝窩静脈あるいは大腿静脈の症候性、無症候性のDVTの発現とした。

DVT予防効果はなく、皮膚有害事象が有意に多い




すべての患者が解析の対象となった。主要評価項目の発現率は、GCS使用群が10.0%(126/1,256例)、GCS非使用群は10.5%(133/1,262例)であり、絶対リスク低減率は0.5%と有意な差は認めなかった。

皮膚の裂傷、潰瘍、水疱や皮膚壊死の頻度は、GCS非使用群の1.3%(16/1,256例)に対しGCS使用群は5.1%(64/1,262例)と有意に高かった(オッズ比:4.18、95%信頼区間:2.40~7.27)。

これらの結果により、著者は「急性脳卒中による入院患者に対して、DVTの予防を目的とした大腿部までの長さのGCSの着用は支持されない」と結論し、「脳卒中ガイドラインは、本試験の知見に基づいて改訂を検討すべきであろう」としている。

(菅野守:医学ライター)