変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の異常プリオン罹患率、100万人中289人

提供元:ケアネット

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公開日:2009/06/12

 

 英国では、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)の病原と考えられる異常プリオンタンパクの罹患率は、多くとも100万人中289人であることが明らかになった。これまでの調査結果では、同罹患率の95%信頼区間が100万人中60~853人だった。今回の結果は前回の結果と整合性はあるものの、より少ない予測数が算出された。報告は、英国Health Protection AgencyのJonathan P Clewley氏らが、6万人超について行った調査によるもので、BMJ誌2009年5月30日号(オンライン版2009年5月21日号)で発表した。

6万3,007人の扁桃部を検査
 研究グループは、2008年までに扁桃摘出術で取り出された6万3,007人の扁桃部について、2種の酵素免疫測定法でスクリーニングを行った。そのうち陽性だったものについて、免疫組織化学法と免疫ブロット法で検査をした。なお、被験者のうち、vCJDが見つかった人の大半を占めたのは、1961~1985年に生まれた1万2,753人、また牛肉を食したことによって感染した可能性のある人は、1986~1995年に生まれた1万9,908人だった。

免疫組織化学法と免疫ブロット法、陽性検体はゼロ
 その結果、2種いずれかの酵素免疫測定法で陽性反応があったのは、276の検体だった。だが、酵素免疫測定法の再検査で再び陽性反応があったのは、そのうち15%に過ぎなかった。

 また276検体については免疫組織化学法と免疫ブロット法の検査が行われたが、いずれの検体からも、異常プリオンタンパクは見つからなかった。

 異常プリオンタンパクの罹患率は、1961~1995年に生まれた群は、0(95%信頼区間:0~113)/100万人。また1961~1985年に生まれた群も、0(95%信頼区間:0~289)/100万人だった。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)