薬剤抵抗性心筋虚血への自己骨髄由来単核球細胞の心筋内注入で、心筋灌流が改善

提供元:ケアネット

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公開日:2009/06/02

 



薬剤抵抗性慢性心筋虚血に対し、自己骨髄由来単核球細胞を心筋内に注入すると、わずかではあるが心筋灌流が短期間で有意に改善することがわかった。オランダLeiden大学心臓病学部門のJan van Ramshorst氏らが、患者50人を対象に無作為化プラセボ対照二重盲検試験を行い明らかにしたもので、JAMA誌2009年5月20日号で発表した。

負荷時合計スコアは平均3.4ポイント改善




Ramshorst氏らは、被験者を2群に分け、一方の群には100×10(6)の自己骨髄由来単核球細胞を、心筋内に注入した。もう一方には、プラセボ液を注入した。被験者の平均年齢は64歳(標準偏差:8)、43人が男性だった。追跡期間は6ヵ月。

主要アウトカムは、Tc-99mテトロフォスミンを用いた断層撮影法SPECTによる負荷時合計スコアとした。第2アウトカムは、左室駆出率、カナダ心臓血管協会(CCS)の狭心症重症度分類、シアトル狭心症質問表によるQOL(生活の質)スコアなど。

結果、SPECTによる負荷時合計スコアについて、試験開始時と3ヵ月後を比較したところ、プラセボ群で平均24.8(標準偏差:5.5)から23.7(同:5.4)にわずかだが低下していた(p=0.004)。一方治療群では、同スコアは平均23.5(4.7)から20.1(4.6)へとより大幅に改善した(p<0.001)。

左室駆出率は3%増加、6ヵ月でQOLも改善




また磁気共鳴画像(MRI)で左室駆出率を調べたところ、プラセボ群では試験開始時と3ヵ月後で有意差がなかったのに対し、治療群では3%の増加が認められた(95%信頼区間:0.5~4.7%、n=18)。

6ヵ月後のCCS狭心症重症度分類では、治療群で有意な改善が見られた(-0.79、95%信頼区間:-1.10~-0.48、p<0.001)ものの、プラセボ群では有意な改善は見られなかった(p=0.06)。

シアトル狭心症質問表によるQOL(生活の質)スコアは、プラセボ群では試験開始時が57%、3ヵ月後が61%、6ヵ月後が64%だった。それに対し治療群では、開始時が56%、3ヵ月後が64%、6ヵ月後には69%だった。

CCSスコア、QOLスコア共に、その改善幅は治療群がプラセボ群よりも有意に大きかった(それぞれp=0.03、p=0.04)。

研究グループは、同治療法の長期アウトカムや死亡率などの評価には、さらなる試験が必要だとまとめている。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)