白内障手術前14日間のタムスロシン投与、術後合併症リスクを2倍超に増大

提供元:ケアネット

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公開日:2009/06/02

 


白内障の手術前14日間に、αアドレナリン受容体遮断薬のタムスロシン(商品名:ハルナールほか)を服用していた人は、術後合併症リスクが2倍以上に増大することが報告された。Institute for Clinical Evaluative Sciences(カナダ、トロント)のChaim M. Bell氏らが、オンタリオ州のヘルスケアデータを用いて行った後ろ向きコホート研究の結果明らかにしたもので、JAMA誌2009年5月20日号で発表した。タムスロシンは、白内障とともに、高齢男性に多い疾患である前立腺肥大の治療薬。同剤に関してはこれまで、白内障手術中に瞳孔拡大を阻害する可能性があることが明らかにされていた。

約9万6,000人を調査、術後合併症発症率は0.3%




調査は、2002~2007年に白内障手術を受けた66歳以上の男性、合わせて9万6,128人について行われた。白内障手術後14日以内の、網膜剥離、眼内レンズ喪失・損傷、眼内炎の記録の有無を調べ、タムスロシン、または他のαアドレナリン受容体遮断薬の服用の有無によってその発症率を比較した。

調査対象コホートのうち、手術前14日以内にタムスロシンを服用していたのは3.7%(3,550人)、同期間にその他のαアドレナリン受容体遮断薬を服用していたのは7.7%(7,426人)だった。前述の術後合併症のいずれかを発症したのは、0.3%(284人)だった。

タムスロシン14日以内服用で合併症発症率は2.33倍




合併症を発症した280人と、年齢や執刀外科医とその経験年数などをマッチングした対照群1,102人について、分析を行った。その結果、タムスロシン14日以内群における合併症発症率は7.5%と、対照群の2.7%に比べ、有意に高率だった(補正後オッズ比:2.33、95%信頼区間:1.22~4.43)。加害必要数(NNH)は255だった。その他のαアドレナリン受容体遮断薬14日以内群の同発症率については、対照群との間に有意差はなかった(補正後オッズ比:0.91)。

 一方、タムスロシン15~365日服用群の同発症率については、対照群との間に有意差はなかった(補正後オッズ比:0.94)。またその他のαアドレナリン受容体遮断薬15~365日服用群の同発症率も、対照群と同等だった(補正後オッズ比:1.08)。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)