慢性心不全患者への運動療法:総死亡率や心血管疾患死亡率などやや改善の可能性

提供元:ケアネット

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公開日:2009/04/21

 



慢性心不全患者への運動療法は、総死亡率や心血管疾患による死亡率などを、やや改善する可能性があるようだ。これまで、心不全患者に対する運動療法が、臨床的アウトカムを有意に改善することを示した研究はなかったという。

本報告は、2,300人超の心不全患者を対象に行った、多施設共同無作為化試験「HF-ACTION」の結果で、米国Duke大学のChristopher M. O’Connor氏らが分析し、JAMA誌2009年4月8日号で発表した。

補正前の死亡または入院した割合に有意差なし




HF-ACTIONでは、2003~2007年にかけて、米国、カナダ、フランスの医療施設82ヵ所で、合わせて2,331人の安定した外来慢性心不全患者を集めた。被験者の年齢中央値は59歳、左室駆出分画率は35%以下(中央値25%)だった。また、被験者の37%がニューヨーク心臓協会心機能分類でIIIまたはIVに属し、51%が虚血性心不全だった。

研究グループは被験者を無作為に2群に分け、一方の群(運動療法群)の1,172人には、通常の治療に加え、エアロビクス運動を36回指導し、その後は家で行うよう指導した。もう一方の群(対照群)の1,159人には通常の治療のみを行った。追跡期間の中央値は、30カ月だった。

追跡期間中に死亡または入院したのは、運動療法群65%(759人)、対照群68%(796人)だった(ハザード比:0.93、95%信頼区間:0.84~1.02、p=0.13)。

補正後の死亡または入院の発生率は運動療法群で0.89倍に




被験者について、試験開始当初の主な予後規定因子で補正後、運動療法群の原因を問わない死亡または入院に関する、対照群に対するハザード比は、0.89(95%信頼区間:0.81~0.99、p=0.03)だった。心血管疾患による死亡や入院に関する同ハザード比は、0.91(0.82~1.01、p=0.09)、心血管疾患による死亡や心不全による入院に関しては、0.85(0.74~0.99、p=0.03)だった。

なお補正前の結果では、総死亡率(ハザード比:0.96、95%信頼区間:0.79~1.17、p=0.70)、心血管疾患による死亡や入院(0.92、同:0.83~1.03、p=0.14)、心血管疾患による死亡や心不全による入院(0.87、同:0.75~1.00、p=0.06)のいずれも、両群に有意差は見られなかった。

有害事象の発生率については、両群で有意差はなかった。

これらから、予後規定因子の補正前では有意な改善は見られなかったものの、補正後の結果では、両死亡率や入院率、心不全による入院率について、運動をしないグループに比べ、優位な改善が見られたと結論している。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)