医療安全指標SPSと院内死亡率

提供元:ケアネット

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公開日:2009/04/14

 



米国の病院の、医療安全基準指標の一つにSafe Practices Score(SPS)がある。これは、病院の未然に防ぐことが可能な医療ミス削減などを目的にした非営利団体「Leapfrog Group」が、医療の安全性を向上するために実行している対策事項について、病院自らの報告を元にスコア化したもの。これまで、同スコアと死亡率といったアウトカム間との関連は明らかになっていなかったが、カリフォルニア大学サンフランシスコ校のLeslie P. Kernisan氏らによる調査結果では、院内患者死亡率との相関関係は見られなかったと報告された。JAMA誌2009年4月1日号掲載より。

院内死亡率と四分位毎のSPSスコアに相関なし




同研究グループは、2006年にSafe Practices Surveyを行った1,075病院のうち、院内死亡率などのデータベースNationwide Inpatient Sample(NIS)で情報の得られた155ヵ所の病院について、分析した。

補正前の全体の院内死亡率は、2.09%だった。

病院の退院件数や教育病院か否かなどの補正を行った後、SPSスコアの四分位毎の院内死亡率について見てみると、同スコアが最も低い第1四分位の院内死亡率平均は1.97%(95%信頼区間:1.78~2.18%)、第2四分位は同2.04%(1.84~2.25%)、第3四分位は同1.96%(同:1.77~2.16%)、第4四分位は同2.00%(同:1.80~2.22%)だった。院内死亡率と四分位毎のSPSスコアには、有意な相関関係はなかった。

65歳以上患者などのサブグループ分析でも相関なし




さらに、サブグループ分析として、65歳以上の患者と、期待死亡率が5%以上の入院患者についてそれぞれ見てみたが、同様に院内死亡率と四分位毎のSPSスコアには、有意な相関関係は見られなかった。

Kernisan氏は、「しかし今回の結果は、安全対策が重要でないとか、SPSでは有益で妥当な評価は難しいということではない。評価が可能な、妥当な方法を見つけなくてはならないということだ」と結論している。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)