外傷性脳損傷後のてんかん発症リスクは10年以上持続する

提供元:ケアネット

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公開日:2009/04/09

 



外傷性の脳損傷後のてんかん発症リスクは、10年以上にわたり持続することが、デンマークAarhus大学病院神経内科のJakob Christensen氏らが実施したコホート研究で判明した。重症例やてんかんの家族歴があると、リスクはさらに増大していたが、その一方で著者は予防的介入の可能性も示唆している。外傷性脳損傷後は早期のてんかん発症リスクが高いとされるが、この高リスク期がどれくらい持続するかは不明であったという。Lancet誌2009年3月28日号(オンライン版2009年2月23日号)掲載の報告。

160万人、10年以上にわたる検討




研究グループは、外傷性脳損傷後10年以上にわたり、てんかんの発症リスクにつき性別、年齢、重症度、家族歴に基づいて検討を行った。

住民登録システムを利用して、1977~2002年にデンマークで出生した160万5,216人を抽出した。国の病院疾病登録記録から外傷性脳損傷およびてんかんの情報を取得し、ポワソン法を用いて相対リスクを算出した。

予防的介入の余地が広がる




てんかんの発症リスクは、脳損傷が軽度な場合は2.22倍、重度な場合は7.4倍、頭蓋骨骨折がある場合は2.17倍に増大した。脳損傷後10年以上が経過しても、てんかんの発症リスクは軽傷例で1.51倍、重傷例で4.29倍、頭蓋骨骨折例では2.06倍であった。

軽傷例と重傷例では加齢とともに相対リスクが上昇し、特に15歳以上では軽傷例で3.51倍、重傷例では12.24倍にもなった。男性よりも女性で相対リスクがわずかに高かった(2.49 vs. 2.01)。てんかんの家族歴がある場合はリスクが著明に増大し、軽傷例で5.75倍、重症例では10.09倍にも達していた。

著者は、「外傷性の脳損傷後のてんかんの発症リスクは長期にわたって持続する」と結論したうえで、「脳損傷後のてんかんの予防を目的とした薬物療法は禁忌とされてきたが、高リスク期間が長期に持続するという今回の知見により、予防的介入の余地が広がったと言えよう」と指摘している。

(菅野守:医学ライター)