進行パーキンソン病への両側脳深部刺激療法、薬物治療よりも有効

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2009/01/20

 



進行パーキンソン病への両側脳深部刺激療法は、薬物治療よりも、6ヵ月後の運動機能や生活の質(QOL)の改善に効果があることが、70歳以上の被験者を含む試験で明らかにされた。これまでの研究の多くが、被験者に高齢の患者を含んでいなかった。ただし深刻な有害作用の発生率が、両側脳深部刺激療法のほうが高かったとも報告されている。これは、米国Hines VA HospitalのFrances M. Weaver氏らの研究で明らかになったもので、JAMA誌2009年1月7日号で発表された。

255人を6ヵ月追跡、うち25%は70歳以上




同氏らは、2002~2005年にかけて、薬を飲まない状態でホーエン&ヤール分類でステージ2以上のパーキンソン病と診断された患者、合計255人について、無作為化コントロール試験を行った。被験者の25%が、70歳以上だった。

被験者は、両側脳深部刺激療法群と薬物療法群に分けられ、両側脳深部刺激療法群はさらに、視床下核刺激術の群(60人)と淡蒼球刺激術の群(61人)に分けられた。一方の薬物療法群(134人)に対しては、運動障害専門の神経科医による最良の薬物治療を行った。

6ヵ月月後、運動異常が起らずに運動をコントロールできる持続時間などを測定し、比較した。

両側脳深部刺激療法群、運動異常の起こらない時間が1日4.6時間増加




両側脳深部刺激療法群では、試験開始6ヵ月後、運動異常が起こらずに運動をコントロールできる時間が、試験開始時点よりも4.6時間/日増加したのに対し、薬物療法群では、同増加時間は0時間/日だった。両群の平均格差は、4.5時間/日(95%信頼区間:3.7~5.4、p<0.001)だった。

運動機能も、両側脳深部刺激療法群で薬物療法群よりも有意に改善した。例えば、運動機能が臨床的に意味のある程度の改善を遂げた人の割合は、両側脳深部刺激療法群では71%だったのに対し、薬物療法群では32%に留まった。

QOLスコア全般や、パーキンソン病QOLスコア8項目のうち7項目についても、両側脳深部刺激療法群は薬物療法群より有意に改善した(p<0.001)。

一方、有害事象の発生率について見てみると、深刻な有害事象は薬物療法群では15件だったのに対し、両側脳深部刺激療法群では49件に上った(p<0.001)。49件のうち39件が手術によるもので、1件は脳出血により死に至った。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)