介入の効果を検討したコホート研究のほぼ半数は根拠を示さずにアウトカムを変更し、そのほとんどが統計学的に有意な結果をもたらす方向への変更であることを、カナダ・Women’s College HospitalのZexing Song氏らが示した。治療介入に関する系統的レビューの3分の1以上には非無作為化研究(多くが観察コホート研究)が含まれ、その研究結果は無作為化比較試験の結果と統合されて実臨床の指針として活用される。コホート研究におけるアウトカムの切り替え(主要アウトカムが、事前に規定されたものと、結果の報告で異なること)はバイアスの要因となるが、その発生状況や特徴などは明らかでなかった。研究の成果は、BMJ誌2026年5月27日号で報告された。
切り替えの発生を評価する縦断的メタ疫学研究
研究グループは、介入コホート研究におけるアウトカム切り替えの発生状況と特徴、その要因などの調査を目的に、縦断的メタ疫学研究を実施した(特定の助成を受けていない)。
レジストリ記録と学術誌に掲載された論文を調べ、介入の効果を検討したコホート研究を選出した。2014~16年に、研究開始日から1ヵ月以内にClinicalTrials.govに登録され、2024年までに査読付きの学術誌で結果が公表された研究を対象とした。
レジストリに登録された事前規定のアウトカムと、学術誌に掲載された結果報告のアウトカムを比較することで、アウトカムを切り替えた研究の割合を算出した。
アウトカムの不一致は、次の4つのカテゴリーに分類した。(1)欠落(事前に規定された主要アウトカムを報告していない)、(2)降格(事前に規定された主要アウトカムを非主要アウトカムとして報告)、(3)昇格(事前に規定された非主要アウトカムを主要アウトカムとして報告)、(4)新たな主要アウトカムの導入(事前に登録されていないアウトカムを主要アウトカムとして報告)。
48%が切り替え、理由の説明は2件のみ
2015年1月~2024年10月に、査読付きの学術誌で結果が公表された124件の研究を解析の対象とした。このうち104件(84%)は北米および欧州の研究者が主導し、分野は循環器(23件[19%])、産婦人科(13件[10%])、神経科(12件[10%])が多かった。レジストリ記録の修正回数中央値は7回(四分位範囲[IQR]:4~11)で、3分の2の研究は企業以外からの助成のみを受けていた。
レジストリ記録の最新版で主要アウトカムの4要素(測定変数、分析指標、統合方法[各研究群のアウトカムを要約する統計量]、測定時点)を完全に事前規定していた研究は30件(24%)のみであった。
また、60件(48%)の研究で登録時と報告時のアウトカムが一致せず、切り替えを認めたが、その理由を説明していたのはわずか2件であった。
最も一般的な切り替えの形態は、欠落(32件[26%])と降格(32件[26%])であり、次いで新たな主要アウトカムの導入(25件[20%])、昇格(2件[2%])の順であった。
77%が、有意な結果に切り替え
欠落以外のアウトカムの切り替え(=アウトカムの結果の報告)が行われた57件の研究のうち、44件(77%)では、有意な新たな主要アウトカムの導入または昇格により、あるいは非有意なアウトカムへの降格により、統計学的に有意な結果を優先していた。
一方、多変量ロジスティック回帰分析では、アウトカムの切り替えと有意に関連する研究特性は認めなかった。
著者は、「介入コホート研究では、アウトカムの切り替えや不適切な事前規定が頻繁にみられた。これらの変更の大部分は説明がつかず、統計学的に有意な結果を優先するものであった」とまとめ、「これらの知見は、研究者がアウトカムを事後的に選択して報告している可能性への懸念を招くものであり、アウトカム報告の透明性を高める必要性を強く示唆する」と指摘している。
(医学ライター 菅野 守)