過体重・高齢の持続性AFの減量、重症度スコア改善につながらず/JAMA

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2026/06/01

 

 過体重を呈する持続性心房細動(AF)の高齢患者では、低カロリー食と行動支援プログラムを併用した介入は、安全上の懸念なく有意かつ持続的な体重減少をもたらすが、AF症状の重症度・負担や心臓リモデリング、追加のリズムコントロール介入の必要性には影響を及ぼさないことを、英国・オックスフォード大学のMatteo Sclafani氏らが、「LOSE-AF試験」の結果で示した。過体重はAFの強力なリスク因子であり、欧米の診療ガイドラインでは、肥満とAFを併発するすべての患者に対して減量が推奨されている。一方、既存のエビデンスは比較的若年のAF患者(平均年齢約60歳)に基づくものであり、より高齢の患者では、減量はサルコペニアやフレイルを招く恐れがあるため治療的価値が制限される可能性が示唆されていた。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2026年5月20日号で報告された。

英国の研究者主導型無作為化試験

 LOSE-AF試験は、英国の2施設で実施した研究者主導型の非盲検無作為化試験(英国国立健康研究所[NIHR]オックスフォード生物医学研究センター[BRC]などの助成を受けた)。2018年11月~2025年4月に、年齢60~85歳、BMI値27以上で、持続性AFと診断され、直流カルディオバージョン(DCCV)が適応の患者118例(平均年齢68[SD 6]歳、女性33%)を登録した。

 被験者を、8ヵ月間の低カロリー食と行動支援プログラムを受ける群(介入群、59例)、または通常治療を受ける群(対照群、59例)に無作為に割り付けた。

 ベースラインの平均体重は、介入群103.2(SD 16.2)kg、対照群101.9(16.8)kg、BMI値はそれぞれ34.6(SD 4.8)および34.1(5.4)、平均心拍数は78(SD 17)および76(15)拍/分、CHA2DS2VAScスコア中央値は2(四分位範囲[IQR]:2~3)点および2(1~3)点であった。

 また、DCCV治療歴のある患者は、介入群47%および対照群27%、AFアブレーション治療歴のある患者はそれぞれ20%および17%であり、AF罹患期間中央値は9.6(IQR:4.2~54)ヵ月および13.1(5~49)ヵ月であった。

 心房細動重症度尺度(AF Severity Scale:AFSS)の平均症状重症度スコア(0~35点、高スコアほど症状が重度)は介入群13.8(SD 5.9)点および対照群12.8(5.9)点、AFSSの平均症状負担スコア(3.25~30点、高スコアほどAF症状の全般的な負担が大きい)は24.4(SD 3.7)点および24.2(4.0)点だった。

9.7%の減量、症状重症度に差はない

 8ヵ月の時点で、ベースライン補正後平均体重は、介入群が92.6(SD 0.85)kgと対照群99.4(0.85)kgに対し有意に低かった(推定群間差:-6.9kg、95%信頼区間[CI]:-9.2~-4.5、 p<0.001)。体重減少率は、介入群が9.7%、対照群は3.1%であった(p<0.001)。

 一方、この体重差にもかかわらず、主要アウトカムである8ヵ月時のAFSSの症状重症度スコア(臨床的に意義のある差は4点とした)のベースライン補正後平均値は、介入群が7.9(SE 0.84)点、対照群は8.9(0.84)点であり、両群間に有意差を認めなかった(群間差:-0.9点、95%CI:-3.3~1.4、p=0.43)。

減量は有効な治療戦略ではない

 8ヵ月時の身体機能検査(PPTスコア[0~36点、高スコアほど身体機能が良好]:介入群32.6[SE 0.44]点vs.対照群32.6[0.44]点、群間差:0点、95%CI:-1.2~1.2、p=0.99)と、AFSS症状負担スコア(15.8[1.08]点vs.15.0[1.08]点、群間差:0.8点、95%CI:-2.2~3.8、p=0.59)に関して両群間に有意な差はなく、心臓MRIパラメーターや血圧、脂質プロファイルの変化に関しても差を認めなかった。

 また、追跡期間中のAF再発率(ハザード比[HR]:1.04、95%CI:0.69~1.58、p=0.85)や、再DCCV(HR:0.64、95%CI:0.35~1.16、p=0.14)、再AFアブレーション(HR:1.00、95%CI:0.48~2.10、p>0.99)の施行率も両群で同程度であった。試験への参加に関連した重篤な有害事象は発現しなかった。

 著者は、「過体重の持続性AF高齢患者では、食事療法による適度な減量は有効な治療戦略ではなかった」としている。

 また、「AFSSスコアは、主に心拍の状態に起因する症状の変化を捉えるよう設計されているため、AFの負担の変化とは関連のない、減量によるより広範な症状の改善効果を検出する感度は限定的であった可能性がある」と指摘している。

(医学ライター 菅野 守)