弁疾患と冠動脈疾患の併存、FFRに基づくCABGでアウトカム改善/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2026/04/02

 

 待機的弁手術が予定されている冠動脈疾患を有する患者において、血管造影によるFFR(冠血流予備量比)に基づく冠動脈バイパス術(CABG)は、冠動脈造影による解剖学的指針に基づくCABGと比較し、周術期複合アウトカムの発生を低下させたことが示された。中国・上海交通大学医学院附属瑞金医院のYunpeng Zhu氏らが、中国の3次医療施設12施設で実施した研究者主導の無作為化三重盲検試験「FAVOR IV-QVAS試験」の結果を報告した。冠動脈疾患を併発している弁手術予定患者に対し、現行ガイドラインでは、冠動脈造影で評価された狭窄の重症度に基づき、解剖学的指針に基づくCABGを行うことが推奨されているが、FFRに基づく戦略がこの患者集団において臨床アウトカムを改善しうるかどうかは検討されていなかった。Lancet誌2026年3月21日号掲載の報告。

FFR≦0.80のみCABG実施vs.狭窄率≧50%の血管にCABG実施を評価

 FAVOR IV-QVAS試験の対象は、原発性大動脈弁疾患、僧帽弁疾患またはその両方のため待機的弁手術が予定されており、冠動脈造影により直径1.5mm以上で冠動脈バイパス術(CABG)に適した血管において50%以上の狭窄を認める主要冠動脈を1本以上有する18歳以上の成人であった。

 研究グループは、適格患者を血管造影によるFFR値が0.80以下の場合のみCABGを実施する群(血管造影FFR群)、または冠動脈造影で狭窄率が50%以上のすべての血管に対してCABGを実施する群(冠動脈造影群)に1対1の割合で無作為に割り付けた。患者、フォローアップ担当医師およびアウトカム評価者は割り付けについて盲検化された。

 主要アウトカムは、術後30日以内の全死因死亡、心筋梗塞、脳卒中、予定外の冠動脈再血行再建術および透析を必要とする新規腎不全の複合であった。重要な副次アウトカムは、1年時および3年時における全死因死亡、心筋梗塞、脳卒中、予定外の冠動脈再血行再建術、不安定狭心症による入院または心不全による入院の複合であった。

 主要アウトカムおよび重要な副次アウトカムの主要解析は、無作為化され手術を受け、かつ主要アウトカムのデータが入手可能な患者(修正ITT集団)を対象集団とした。なお、主要アウトカムのデータが欠測率2%以下の場合は完全症例解析、2%を超えた場合は多重代入法を用いて解析することが事前に計画された。

主要複合アウトカムの発生は、FFR≦0.80のみCABG実施群で有意に低下

 2019年8月4日~2024年8月13日に793例が登録され、396例が血管造影FFR群、397例が冠動脈造影群に無作為に割り付けられた。冠動脈造影群の1例は手術を拒否したため、修正ITT集団から除外された。年齢中央値は65歳(四分位範囲[IQR]:59~70)で、221例(28%)が女性、571例(72%)が男性であった。CABGは、血管造影FFR群で223例(56%)、冠動脈造影群で388例(98%)に施行された。

 主要複合アウトカムのイベントは、血管造影FFR群で31例(7.8%)、冠動脈造影群で53例(13.4%)に発生した(絶対群間差:-5.6%ポイント[95%信頼区間[CI]:-9.9~-1.3]、リスク比:0.58[95%CI:0.38~0.89]、p=0.011)。30日全死因死亡は、血管造影FFR群で11例(2.8%)、冠動脈造影群で17例(4.3%)に認められた。

 追跡期間中央値27ヵ月(血管造影FFR群28ヵ月[IQR:18~44]、冠動脈造影群27ヵ月[18~42])時点において、重要な副次アウトカムは血管造影FFR群で82例(20.7%)、冠動脈造影群で106例(26.8%)に発生した(ハザード比:0.74、95%CI:0.55~0.98、p=0.036)。

(ケアネット)