再発・難治性濾胞性リンパ腫、タファシタマブ追加でPFS改善(inMIND)/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2026/01/06

 

 濾胞性リンパ腫は長期生存率が高いが、一般的に根治が困難で、寛解と再発を繰り返すことから複数の治療ラインが求められている。カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のLaurie H. Sehn氏らによる「inMIND試験」において、再発・難治性濾胞性リンパ腫の治療では、レナリドミド+リツキシマブへの追加薬剤として、プラセボと比較しFc改変型抗CD19抗体タファシタマブは、統計学的に有意で臨床的に意義のある無増悪生存期間(PFS)の改善をもたらし、全奏効割合や奏効期間も良好で、安全性プロファイルは許容可能であることが示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2025年12月5日号で報告された。

世界210施設の無作為化プラセボ対照比較試験

 inMIND試験は、日本を含む世界210施設で実施した二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験であり、2021年4月~2023年8月に参加者を登録した(Incyteの助成を受けた)。

 年齢18歳以上、組織学的にCD19+およびCD20+の濾胞性リンパ腫と確定され、1ライン以上の全身療法(抗CD20モノクローナル抗体を含む)を受けた後に再発または不応の病変を有する患者を対象とした。

 被験者を、タファシタマブ(28日を1サイクルとし、1~3サイクル目は1・8・15・22日に、4~12サイクル目は1・15日に12mg/kgを静注投与)を最大12サイクル投与する群、またはプラセボ群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。全例に、レナリドミド+リツキシマブを投与した。

 主要評価項目は、ITT集団におけるPFS(無作為化の時点から初回の病勢進行、再発、全原因による死亡までの期間)とし、各施設の担当医がLugano分類(2014)に従って評価した。安全性は、無作為化の対象となった患者のうち少なくとも1回の試験薬の投与を受けた集団で評価した。

全生存期間のデータは不十分

 548例(ITT集団)を登録した。273例をタファシタマブ群に、275例をプラセボ群に割り付けた。ITT集団の年齢中央値は64歳(範囲:31~88)で、249例(45%)が女性であった。

 ベースラインで、433例(79%)が濾胞性リンパ腫国際予後指標で中または高リスクであり、患者全体の前治療ライン数中央値は1(範囲:1~10)で、248例(45%)が2ライン以上の前治療を受けていた。173例(32%)に初回診断から24ヵ月以内の病勢進行(POD24)を認め、209例(38%)が直近の前治療に不応で、233例(43%)は抗CD20モノクローナル抗体に不応の治療歴を有していた。

 追跡期間中央値14.1ヵ月の時点で、担当医判定によるPFS中央値は、プラセボ群が13.9ヵ月(95%信頼区間[CI]:11.5~16.4)であったのに対し、タファシタマブ群は22.4ヵ月(95%CI:19.2~評価不能)と有意に優れた(ハザード比[HR]:0.43、95%CI:0.32~0.58、p<0.0001)。

 独立審査委員会の判定によるPFS中央値も、タファシタマブ群で有意に延長した(未到達[95%CI:19.3~評価不能]vs.16.0ヵ月[95%CI:13.9~21.1]、HR:0.41、95%CI:0.29~0.56、p<0.0001)。

 PFSのサブグループ解析では、POD24の有無、抗CD20抗体の不応歴の有無、前治療ライン数(1ライン、2ライン以上)、地理的地域の違い(欧州、北米、その他)を問わず、いずれの集団でもタファシタマブ群で有意に優れた。

 全奏効割合(完全奏効、部分奏効:84%vs.72%、オッズ比:2.0、95%CI:1.30~3.02、p=0.0014)、奏効期間中央値(21.2ヵ月vs.13.6ヵ月、HR:0.47、95%CI:0.33~0.68、p<0.0001)、後治療開始までの期間中央値(未到達vs.28.8ヵ月、HR:0.45、95%CI:0.31~0.64、p<0.0001)は、いずれもタファシタマブ群で有意に良好だった。一方、全生存期間のデータは不十分であり、全体的な解析は追跡期間5年の時点で行う予定とされる。

標準治療の新たな選択肢となる可能性

 いずれかの群で患者の20%以上に発現した有害事象は、好中球減少(タファシタマブ群133例[49%]vs.プラセボ群123例[45%])、下痢(103例[38%]vs.77例[28%])、COVID-19(86例[31%]vs.64例[24%])、便秘(80例[29%]vs.67例[25%])などであった。

 また、Grade3または4の有害事象(タファシタマブ群195例[71%]vs.プラセボ群189例[69%])、および重篤な有害事象(99例[36%]vs.86例[32%])の発現率は両群で同程度だった。

 試験期間中にタファシタマブ群で15例(6%)、プラセボ群で23例(9%)が死亡し、それぞれ5例(2%)および17例(6%)が病勢進行による死亡だった。タファシタマブ群では治療関連有害事象による死亡例は認めなかったが、プラセボ群では2例(1%)に治療関連の致死的な有害事象が発現した。

 著者は、「この3剤併用療法は3次医療機関だけでなく地域医療においても実施可能であるため、とくに現在選択肢が少ない2次治療として、再発・難治性濾胞性リンパ腫患者の標準治療の新たな選択肢となる可能性が示唆される」「タファシタマブ治療後の患者におけるCD19発現の解析が、その後の治療の決定の指針となる情報をもたらすと考えられる」としている。

(医学ライター 菅野 守)