血友病Bに対する遺伝子治療、第III相試験の最終解析/NEJM

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2025/12/19

 

 高活性の第IX因子Padua変異体を導入したアデノ随伴ウイルス血清型5(AAV5)ベクターを用いた遺伝子治療薬etranacogene dezaparvovecは、血友病B成人患者において、5年間にわたり持続的な第IX因子の発現と年間出血率の低下をもたらすことが確認された。米国・ミシガン大学のSteven W. Pipe氏らHOPE-B Study Group Investigatorsが、第III相の非盲検試験「HOPE-B試験」の最終解析結果を報告した。血友病Bの治療では、出血予防のため生涯にわたる定期的な第IX因子の補充が必要となる。遺伝子治療は、単回投与で持続的な第IX因子の発現と疾患コントロールが得られる可能性があり開発が期待されている。NEJM誌オンライン版2025年12月7日号掲載の報告。

etranacogene dezaparvovecの単回投与後、5年間追跡

 研究グループは、血友病B(第IX因子活性≦正常値2%)の男性患者54例に、第IX因子定期補充療法の導入期間(≧6ヵ月)後に、第IX因子Padua変異を発現するAAV5ベクターであるetranacogene dezaparvovec(2×1013ゲノムコピー/kg体重)を、AAV5中和抗体の有無にかかわらず単回投与した。

 事前に規定された5年解析では、補正後年間出血率(etranacogene dezaparvovec投与後7~60ヵ月の出血率と導入期間の出血率の差)、第IX因子発現、および安全性について評価した。

 本試験は2018年6月27日に開始され、最終解析のデータベースロックは2025年4月30日であった。54例中、53例がetranacogene dezaparvovecの全用量を投与され、1例は輸注関連過敏反応のため約10%用量の投与となった。50例(93%)が5年間の追跡調査を完了した。

年間出血率は、投与後7~60ヵ月で導入期間(第IX因子定期補充療法)の63%減少

 最大の解析対象集団54例において、全出血イベントの補正後年間出血率は、導入期間中の4.16に対し、遺伝子治療後7~60ヵ月は1.52で、63%(95%信頼区間:24~82)減少した。

 5年間の追跡期間を通して第IX因子の発現は安定しており、5年時の第IX因子活性の平均(±標準偏差)は36.1±15.7 IU/dLであった。また、定期的予防投与および出血イベントの治療のための第IX因子濃縮製剤の平均使用量は、導入期間中の年間25万7,339 IUから遺伝子治療後7~60ヵ月では年間1万924 IUへと96%減少した。

 有効性は、ベースラインでAAV5中和抗体を有する患者と有さない患者の間で大きな差は認められなかった。

 治療との関連の可能性がある有害事象は、6ヵ月後以降はまれであった。

 なお、etranacogene dezaparvovecの長期的な有効性および安全性、ならびに不確実な遺伝毒性リスクに関するさらなるデータを得るため、HOPE-B試験に参加し同意した患者は遺伝子治療後15年間、IX-TEND 3003試験において追跡調査される予定である。

(医学ライター 吉尾 幸恵)

専門家はこう見る

コメンテーター : 長尾 梓( ながお あずさ ) 氏

関西医科大学附属病院 血液腫瘍内科