新リスクスコア、肝関連アウトカムを高精度で予測/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2023/08/24

 

 スイス・チューリッヒ大学のMiquel Serra-Burriel氏らは、一般集団における肝線維症および関連疾患の長期アウトカムを高い精度で予測可能な「LiverRiskスコア」を開発した。同スコアの予測能は従来のFIB-4指数よりも高いことが示され、著者は、「個々人を肝リスクに応じて層別化可能であり予防的ケアに有用である可能性がある」と述べている。Lancet誌オンライン版2023年8月9日号掲載の報告。

開発したリスクスコアに基づき4群に分類し識別能、予後予測能などを検証

 研究グループは、超音波エラストグラフィーで肝線維症の評価を受けた一般集団のうち、既知の肝疾患を有していなかった6ヵ国の個人参加者を集めた国際前向きコホート(スコアモデル作成コホート)を用いて「LiverRiskスコア」を開発した。同スコアには、年齢、性別と6つの標準的な検査数値などを盛り込んだ。

 LiverRiskスコアの選択的カットオフ値(6、10、15)に基づき、スコアモデル作成コホートを、最小リスク、低リスク、中程度リスク、高リスクの4群に分類した。

 同モデルの識別能と較正能について、一般集団から作成した2つの前向き外部コホートで検証。さらに、既知の肝疾患を有していなかった参加者(UK Biobankコホート)を中央値12年間フォローアップし、同スコアの肝関連アウトカムの長期予後予測能を検証した。

肝疾患、関連死や入院、肝がんリスクの特定に効果的

 参加者は計1万4,726人で、内訳はスコアモデル作成コホート6,357人(43.2%)、第1外部検証コホート4,370人(29.7%)、第2外部検証コホートは3,999人(27.2%)だった。

 LiverRiskスコアは、スコアモデル作成コホートと外部検証コホートで肝硬変を正確に予測し、従来の線維症の血清バイオマーカーであるFIB-4指数よりも予測能が高いことが、受信者動作特性(ROC)曲線下面積(AUC)で示された(LiverRiskスコアのAUC:0.83[95%信頼区間[CI]:0.78~0.89]vs.FIB-4指数10kPaのAUC:0.68[0.61~0.75])。

 LiverRiskスコアは肝関連死や入院、肝がんリスクの特定に効果的であり、肝関連アウトカムに関するリスクグループ層別化を可能とするものだった。

 肝関連死に関する、高リスク群の最小リスク群に対するハザード比は、471(95%CI:347~641)だった。また10年肝関連死の予測に関する総AUCは、LiverRiskスコアが0.90(95%CI:0.88~0.91)だったのに対しFIB-4は0.84(0.82~0.86)だった。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)