BMJ誌編集者は被引用数を予測できるのか?/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2022/12/27

 

 BMJの編集者10人の論文評価予測について調べたところ、ほとんどが慎重に行っている傾向がみられ、実際の被引用数が少ない論文を引用される可能性が高いと評価することはあまりなく、逆に被引用数が多い論文を少ないだろうと評価することのほうが一般的にみられたという。英国・BMJのSara Schroter氏らが、投稿論文の被引用数をBMJ編集者が予測できるのかを検討したコホート研究の結果を報告した。“インパクトファクターマニア”はよくみられる病気で、深刻な影響を受けた編集者は、引用可能性の高い投稿論文のみを受理しようとする可能性がある。一方で、果たして編集者がそのような原稿を選択できるかは明らかになっていなかった。著者は、「今回の結果は良いことで、BMJの編集者はインパクトファクターマニアに左右されることなく原稿の質や内容の重要性に注視しようとしているのだと考えている。とはいえ、データを公開して、50%以上の確率で引用の可能性を正しく予測できた唯一の編集者(10人のうち1人いた)に助言を求めたいとの誘惑にも勝てないでいる」とまとめている。BMJ誌2022年12月14日号クリスマス特集号の「THE SCIENTIST」より。

2015年8月~2016年12月に投稿され、2019年までに発表された論文505本を検証

 研究グループは、2015年8月27日~2016年12月29日の間にBMJに投稿され、査読を受けた後に出版前会議で議論が予定された原稿534本について、BMJ研究チーム編集者10人(男性6人、女性4人)に、発表年+翌年における引用の可能性を「引用なし」「平均以下(10回未満)」「平均(10~17回)」「高い(>17回)」のいずれかのカテゴリで評価してもらい、予測された被引用数をWeb of Science(WOS)で得られた実際の被引用数と比較した。

 534本の原稿のうち、23本は除外され(公表論文なし18本、抄録またはプレプリントのみ3本、著しく異なる論文1本、撤回1本)、511本について原稿と公表論文の適格性を審査した結果、さらに6本が除外され(WOS Core Collectionにインデックスされていない:4本、2019年以降の公表:2本)、2019年までに発表された計505本の論文が対象となった。505本のうち、BMJに掲載されたのは219本(43%)であった。

被引用数カテゴリ分類を50%以上正しく予測できた編集者は10人中1人

 505本の論文において、発表年+翌年の実際の被引用数中央値は9回(四分位範囲[IQR]:4~17[範囲:0~150])で、被引用数10回未満が277本(55%)、10~17回が105本(21%)、>17回が123本(24%)であった。

 BMJに採択された論文は、不採択(他誌で採択)の論文より多く引用された(それぞれ被引用数中央値[IQR]は12回[7~24]、7回[3~12])。

 10人の編集者の予測評価は、実際の引用と一致して増加する傾向は認められたが、カテゴリ評価についてはかなりのばらつきがあった。9人は50%以上(範囲:31~54)の論文について正しく評価できておらず、予測カテゴリと実際のカテゴリとの間のκ係数(一致度)は0.01~0.19の範囲であった。編集者は、実際の被引用数が多い論文を逆に少ないと評価することが多かった。

 カテゴリを正しく予測できた編集者の割合は平均43%で、50%以上の編集者が正しく予測できていた論文数は160本(32%)であった。

(ケアネット)

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コメンテーター : 折笠 秀樹( おりがさ ひでき ) 氏

統計数理研究所 大学統計教員育成センター 特任教授

滋賀大学 データサイエンス・AIイノベーション研究推進センター 特任教授

J-CLEAR評議員