持続性心房細動、線維化領域のアブレーション追加の有効性は?/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2022/06/30

 

 持続性心房細動(AF)患者において、遅延造影MRIで検出された心房線維化領域のアブレーション+肺静脈隔離術(PVI)はPVIアブレーションのみと比較し、心房細動の再発に有意差はないことが、米国・テュレーン大学のNassir F. Marrouche氏が行った「DECAAF II試験」で示された。持続性AFに対するアブレーションは依然として困難である。左房の線維化は心房細動の病態生理に重要な役割を演じており、転帰不良と関連していることが示唆されていた。著者は、「今回の結果は、持続性AFの治療におけるMRIガイド下線維化領域のアブレーションの使用を支持しない」とまとめている。JAMA誌2022年6月21日号掲載の報告。

遅延造影MRIガイド下線維化領域、アブレーション+PVI vs.PVI単独

 DECAAF II試験は、医師主導の多施設共同無作為化臨床試験で、米国、欧州、オーストラリアなど10ヵ国の44施設が参加して行われた。研究グループは、2016年7月~2020年1月の間に、症候性または無症候性持続性AFを有し、初めてAFアブレーションを受ける患者843例を、遅延造影MRIで検出された線維化領域のアブレーション+PVI群(421例)またはPVI単独群(422例)に無作為に割り付け、2021年2月19日まで追跡した。両群ともアブレーション前に遅延造影MRIを行いベースラインの心房線維化を評価し(評価者盲検)、アブレーション後90~180日目に遅延造影MRIでアブレーション後の瘢痕を評価した。

 主要評価項目は、アブレーション後90日間のブランキング期間後の初回心房性不整脈再発までの期間とした。安全性に関する主要複合アウトカムは、アブレーション後30日以内の1つ以上のイベント(脳卒中、PV狭窄、出血、心不全、死亡)の発生とした。

両群でブランキング期間後の心房性不整脈再発に有意差なし

 無作為化された843例(平均年齢62.7歳、女性178例[21.1%])のうち、90日間のブランキング期間を終了し追跡調査が継続された815例(96.9%)が有効性解析対象集団となった。

 主要評価項目の心房性不整脈の再発は、線維化領域アブレーション+PVI群で175例(43.0%)、PVI単独群で188例(46.1%)に認められ、両群に有意差はなかった(ハザード比[HR]:0.95、95%信頼区間[CI]:0.77~1.17、p=0.63)。

 安全性に関する主要複合イベントの発現は、線維化領域アブレーション+PVI群9例(2.2%)、PVI単独群0であり、前者で有意に高かった(p=0.001)。線維化領域アブレーション+PVI群では6例(1.5%)に虚血性脳卒中が発生したのに対し、PVI単独群では発生の報告はなかった。死亡は線維化領域アブレーション+PVI群で2例報告され、最初の1例は手技と関連している可能性があると判定された。

(ケアネット)

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コメンテーター : 香坂 俊( こうさか しゅん ) 氏

慶應義塾大学 循環器内科 専任講師

J-CLEAR評議員