ロシア製COVID-19ワクチン、約2万人接種で有効率91.6%/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2021/03/08

 

 ロシア国立ガマレヤ疫学・微生物学研究所(NRCEM)で開発された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の非相同組み換えアデノウイルス(rAd)ベクターワクチンGam-COVID-Vac(スプートニクV)の第III相試験中間解析の結果が、NRCEMのDenis Y. Logunov氏らによってLancet誌2021年2月20日号で報告された。COVID-19に対する有効率は91.6%と高く、2万人を超える大規模な参加者において良好な忍容性が確認された。Gam-COVID-Vacは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)完全長糖蛋白S(rAd26-SおよびrAd5-S)の遺伝子を持つrAd26型(rAd26)とrAd5型(rAd5)をベースとする複合ベクターワクチンで、prime-boost異種ワクチン接種法に基づき、先にrAd26を接種後、21日の間隔を空けてrAd5が接種される。2020年8月に終了した第I/II相試験では、良好な安全性プロファイルを示し、強力な体液性免疫および細胞性免疫の誘導が認められている。

モスクワ市25施設のプラセボ対照無作為化第III相試験

 研究グループは、COVID-19に対するGam-COVID-Vacの有用性の評価を目的とする二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験を実施し、2020年9月7日~11月24日の期間にモスクワ市の25施設で参加者の登録を行った(ロシア・モスクワ市保健局などの助成による)。

 対象は、年齢18歳以上、抗SARS-CoV-2 IgM/IgG抗体陰性、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法でSARS-CoV-2陰性、COVID-19歴がなく、登録前の14日間にCOVID-19患者との接触がなく、登録前30日間に他のワクチン接種歴のない参加者であった。

 被験者は、ワクチン群またはプラセボ群に3対1の割合で無作為に割り付けられた。担当医、参加者を含むすべての試験関係者には、割り付け情報は知らされなかった。ワクチンは、prime-boostレジメンに基づき、1回目にrAd26が筋注され、21日の間隔を空けてrAd5が筋注された(いずれも、ウイルス粒子1011、用量0.5mL)。

 主要アウトカムは、初回接種後21日(2回目接種日)以降にPCR検査で確定されたCOVID-19の参加者の割合とした。ワクチンの有効率(%)(予防効果)は、(1-オッズ比[OR])×100の式で算出された。主要アウトカムの評価は2回の接種を受けた参加者で行い、重篤な有害事象はデータベースのロック時に少なくとも1回の接種を受けた全参加者で評価した。

21日以降の中等症~重症COVID-19に対する有効率は100%

 2万1,977例の成人が登録され、ワクチン群に1万6,501例、プラセボ群には5,476例が割り付けられた。このうち1万9,866例(ワクチン群1万4,964例、プラセボ群4,902例)が2回の接種を受け、主要アウトカムの解析に含まれた。2回接種例の平均年齢はワクチン群が45.3(SD 12.0)歳、プラセボ群は45.3(11.9)歳であり、両群間で性別の分布、合併症の罹患率、感染リスクに差はなかった。

 初回接種後21日以降に、COVID-19と確定された参加者は、ワクチン群が1万4,964例中16例(0.1%)、プラセボ群は4,902例中62例(1.3%)であり、ワクチンの有効率は91.6%(95%信頼区間[CI]:85.6~95.2、p<0.0001)であった。

 5つの年齢層(18~30歳、31~40歳、41~50歳、51~60歳、60歳以上)および男性・女性の有効率はいずれも87%以上であり、とくに60歳以上の有効率は91.8%(95%CI:67.1~98.3、p=0.0004)と良好であった。また、中等症~重症COVID-19に対する有効率は、初回接種後15~21日は73.6%(p=0.048)であり、21日以降はワクチン群での発生は認められず(対照群は20例で発生)、この期間の有効率は100%(94.4~100.0、p<0.0001)だった。

 初回接種後42日時におけるSARS-CoV-2糖蛋白Sの受容体結合ドメイン(RBD)特異的IgG抗体の検出率は、ワクチン群が98%(336/342検体)で、幾何平均抗体価(GMT)は8,996、抗体陽転率は98.25%であり、プラセボ群の15%(17/114検体)、30.55、14.91%と比較して有意に高かった(p<0.0001)。また、中和抗体のGMTは、ワクチン群が44.5、抗体陽転率は95.83%であり、プラセボ群の1.6、7.14%よりも有意に高値であった(p<0.0001)。これらのデータにより、ワクチンによる体液性免疫応答の誘導が確認された。

 さらに、ワクチン群では、初回接種日と比較して、28日の時点における抗原再刺激によるインターフェロン-γ分泌量(中央値32.77pg/mL、p<0.0001)が有意に増加し、ワクチンによる細胞性免疫応答の誘導が認められた。プラセボ群では、このような反応はなかった。

 最も頻度の高い有害事象は、インフルエンザ様疾患、注射部位反応、頭痛、無力症であった。報告された有害事象のほとんどがGrade1(94.0%[7,485/7,966例])で、Grade2は5.66%(451例)、Grade3は0.38%(30例)であった。希少な有害事象は122例(ワクチン群91例、プラセボ群31例)で報告された。

 重篤な有害事象は、68例に70件認められ、ワクチン群が0.3%(45/1万6,427例)、プラセボ群は0.4%(23/5,435例)であったが、独立データ監視委員会によって、いずれもワクチン接種とは関連がないと確定された。試験期間中に4例(ワクチン群3例[<0.1%]、プラセボ群1例[<0.1%])が死亡したが、ワクチン関連のものはなかった。

 著者は、「このワクチンは、他のSARS-CoV-2ワクチンとともに、SARS-CoV-2ワクチンの世界的なパイプラインの多様化に貢献すると考えられる」としている。研究グループは、現在、ワクチンの1回接種レジメンを評価する研究を進めているという。

(医学ライター 菅野 守)

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コメンテーター : 山口 佳寿博( やまぐち かずひろ ) 氏

東京医科大学 呼吸器内科 客員教授

健康医学会附属 東都クリニック