在胎期間が短いほど成人後のリスクは増大

提供元:ケアネット

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公開日:2008/07/30

 

周産期医療の進歩によって、早産児の生存数は増加しているが、こうした早産児が成人期に必要とする能力については懸念がある。ノルウェー・ベルゲン大学のDag Moster氏らは全国民を対象とした登録制度に基づき長期追跡調査を行った結果、「早産児は成人後も、在胎期間が短いほど医学的・社会的リスクが増大する」と報告した。NEJM誌2008年7月17日号より。

ノルウェーで1967~1983年出生の90万3,402例を追跡調査




ノルウェーにおける全員加入の登録制度「Medical Birth Registry of Norway(MBRN)」に基づいて、1967~1983年に生まれた、在胎週の異なる小児を特定し、その後の社会的能力を示す転帰と、医学的障害について、2003年まで継続して詳細に記録し検討した。

対象となったのは、先天奇形のない生産児90万3,402例(在胎23~27週1,822例、28~30週2,805例、31~33週7,424例、34~36週3万2,945例、37週以降85万8,406例)で、それぞれの在胎期間で、生存し成人期まで経過観察できた対象者の比率は17.8%、57.3%、85.7%、94.6%、96.5%だった。

在胎期間は有病率、教育・収入レベルなどと関連




この結果、脳性麻痺の有病率は、正期産児の0.1%に対して、在胎23~27週児では9.1%(在胎23~27週の出生相対リスク:78.9、95%信頼区間:56.5~110.0)、精神遅滞の有病率は、同0.4%に対して4.4%(相対リスク:10.3、6.2~17.2)、障害年金受給率は同1.7%に対して10.6%(相対リスク:7.5、5.5~10.0)と高かった。

医学的障害がない早産児でも、在胎期間の短さは、到達した教育水準、収入、社会保障の受益率、家庭の構築と関係していた。しかし失業率や犯罪活動とは関連がない。

Moster氏は「1967~1983年に生まれたノルウェー人コホートでは、成人期の医学的・社会的障害リスクは、在胎期間が短いほど増大していた」と結論している。

(武藤まき:医療ライター)