2型DMへのGLP-1、経口薬vs.皮下注/Lancet

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2型DMへのGLP-1、経口薬vs.皮下注/Lancetのイメージ

 2型糖尿病の患者に対するGLP-1受容体作動薬は、現在、皮下注製剤のみが承認されている。米国・AdventHealth Translational Research Institute for Metabolism and DiabetesのRichard Pratley氏らは、開発中のセマグルチドの経口製剤について、リラグルチド皮下注(商品名:ビクトーザ)またはプラセボと比較した第IIIa相無作為化ダブルダミー二重盲検試験「PIONEER 4」の結果を発表した。経口セマグルチドはリラグルチド皮下注に対して、HbA1c値の低下について非劣性であり、体重減少については優越性が示された。安全性と忍容性は同等であった。また、プラセボに対しては、HbA1c値の低下、体重減少ともに優越性が示された。結果を踏まえて著者は、「経口セマグルチドによって、一連の糖尿病治療におけるGLP-1受容体作動薬治療の導入を早めることが可能になるだろう」と述べている。Lancet誌オンライン版2019年6月8日号掲載の報告。

26週後のHbA1c値と体重変化を比較
 研究グループは2016年8月10日~2017年2月7日にかけて、12ヵ国、100ヵ所の医療機関を通じて、18歳以上の2型糖尿病患者950例をスクリーニングし、そのうち711例を対象に試験を開始した。試験対象としたのは、HbA1c値が7.0~9.5%(53~80.3mmol/mol)、メトホルミンの投与量が1,500mgまたは最大許容量で安定している患者を適格とした。SGLT2阻害薬の服用の有無は問わなかった。

 被験者を血糖降下薬の種類と開発国で層別化後、無作為に3群(2対2対1)に割り付け、経口セマグルチド(1日1回、14mgまで漸増、285例)、リラグルチド皮下注(1日1回、1.8mgまで漸増、284例)、プラセボ(142例)を、それぞれ52週間投与した。

 主要エンドポイントは、ベースラインから26週後のHbA1c値の変化で、経口セマグルチド対プラセボと、経口セマグルチド対リラグルチド皮下注の比較・検証(非劣性と優越性、非劣性マージン0.4%)を行った。副次エンドポイントは、ベースラインから26週までの体重変化で、セマグルチド対プラセボまたはリラグルチド皮下注の優越性を検証した。また、安全性の評価は1回以上の試験薬投与を受けた全被験者を対象とした。

 評価に当たっては、治療指針に基づく推定使用量(試験薬の中止やレスキュー治療の有無を問わない用量)と、試験薬の推定使用量(全被験者がレスキュー治療不要で試験薬投与を受けられると仮定した用量)を定義し、主要評価は前者の治療指針に基づく推定使用量で行われた。

経口セマグルチド、体重減少では対リラグルチド皮下注に優越性示す
 被験者の48%(341例)が女性で、平均年齢は56歳(SD 10)だった。全被験者が試験薬を1回以上服用した。試験を完遂したのは経口セマグルチド群97%、リラグルチド皮下注群96%、プラセボ群94%であった。

 26週時点のベースラインからのHbA1c値の平均変化値は、経口セマグルチド群-1.2%(SE 0.1)、リラグルチド皮下注群-1.1%(0.1)、プラセボ群-0.2%(0.1)だった。

 治療指針に基づく推定使用量での評価の結果、HbA1c値の低下について、経口セマグルチド群はリラグルチド皮下注群に対し非劣性を示し(推定治療差[ETD]:-0.1%、95%信頼区間[CI]:-0.3~0.0、p<0.0001)、プラセボ群に対しては優越性を示した(同:-1.1%、-1.2~-0.9、p<0.0001)。試験薬の推定使用量に基づく評価では、26週時点の経口セマグルチド群のHbA1c値は、リラグルチド皮下注群(ETD:-0.2%、95%CI:-0.3~-0.1、p=0.0056)およびプラセボ群(同:-1.2%、-1.4~-1.0、p<0.0001)の両者よりも有意に大きな低下を示した。

 ベースラインから26週後の体重変化については、治療指針に基づく推定使用量での評価において、経口セマグルチド群の体重減少(-4.4 kg[SE 0.2])は、リラグルチド皮下注群(-3.1kg[SE 0.2]、ETD:-1.2kg[95%CI:-1.9~-0.6]、p=0.0003)、プラセボ群(-0.5kg[SE 0.3]、同:-3.8kg[-4.7~-3.0]、p<0.0001)の両群に対して優越性を示した。試験薬の推定使用量に基づく評価では、26週時点の体重減少は、経口セマグルチド群がリラグルチド皮下注群(ETD:-1.5kg[95%CI:-2.2~-0.9]、p<0.0001)およびプラセボ群(同:-4.0kg[-4.8~-3.2]、p<0.0001)よりも、有意に大きいことが示された。

 有害事象の発生率は、経口セマグルチド群80%(229例)とリラグルチド群74%(211例)が、プラセボ群67%(95例)に比べて高率だった。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)

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コメンテーター : 住谷 哲( すみたに さとる ) 氏

公益財団法人日本生命済生会日本生命病院 糖尿病・内分泌センター

センター長

J-CLEAR評議員

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