局所進行胃がん周術期療法、FLOT vs.ECF/ECX/Lancet

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ケアネット

局所進行胃がん周術期療法、FLOT vs.ECF/ECX/Lancetのイメージ

 切除可能な局所進行胃・胃食道接合部腺がんの治療において、ドセタキセルベースの3剤併用レジメンによる術前後の化学療法は標準レジメンと比較して、全生存(OS)期間を1年以上延長することが、ドイツ・UCT-University Cancer Center FrankfurtのSalah-Eddin Al-Batran氏らが行ったFLOT4-AIO試験で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2019年4月11日号に掲載された。術前後のエピルビシン+シスプラチン+フルオロウラシル(ECF)の有用性を示した大規模臨床試験(MAGIC試験)以降、いくつかのレジメンが検討されたが、いずれも不成功に終わっている。ドセタキセルベースの化学療法では、転移を有する胃・胃食道接合部腺がんにおける有効性が報告されている。

ドイツの38施設の無作為化試験
 FLOT4-AIOは、ドイツの38施設で実施された第II/III相非盲検無作為化試験であり、今回は第III相の結果が報告された(German Cancer Aid[Deutsche Krebshilfe]などの助成による)。

 対象は、組織学的に確定された臨床病期cT2以上またはリンパ節転移陽性(cN+)、あるいはこれら双方で、遠隔転移がなく、切除可能な腫瘍を有する患者であった。

 被験者は、次の2つのレジメンに無作為に割り付けられた。FLOT群:術前と術後に、2週を1サイクルとして4サイクルずつ、ドセタキセル(50mg/m2)+オキサリプラチン(85mg/m2)+ロイコボリン(200mg/m2)/フルオロウラシル(2,600mg/m2、24時間静注)を1日目に投与。ECF/ECX群(対照群):術前と術後に、3週を1サイクルとして3サイクルずつ、エピルビシン(50mg/m2、1日目)+シスプラチン(60mg/m2、1日目)+フルオロウラシル(200mg/m2、持続静注、1~21日)またはカペシタビン(1,250mg/m2、経口投与、1~21日)を投与。ECF/ECX群のフルオロウラシルかカペシタビンかの選択は担当医が行った。

 主要アウトカムはOS期間(優越性)とし、intention-to-treat解析を実施した。

OS期間が15ヵ月延長、重篤な有害事象は同等
 2010年8月~2015年2月の期間に716例が登録され、FLOT群に356例(年齢中央値62歳、男性75%)、ECF/ECX群には360例(62歳、74%)が割り付けられた。フォローアップは2017年3月に終了した。

 実際に術前化学療法を開始したのは、FLOT群352例(99%)、ECF/ECX群353例(98%)で、全サイクルを完了したのはそれぞれ320例(90%)、326例(91%)であった。また、術後化学療法を開始したのはFLOT群213例(60%)、ECF/ECX群186例(52%)で、全サイクル完了はそれぞれ162例(46%)、132例(37%)だった。

 投与中止の理由は、病勢進行/無効/早期死亡がFLOT群46例(13%)、ECF/ECX群74例(21%)、患者の要望がそれぞれ59例(17%)、62例(17%)、毒性が35例(10%)、47例(13%)であった。

 手術開始は、FLOT群345例(97%)、ECF/ECX群341例(95%)、腫瘍手術が行えたのは、それぞれ336例(94%)、314例(87%)であった。断端陰性(R0)切除の達成は、FLOT群が301例(85%)と、ECF/ECX群の279例(78%)に比べ有意に高かった(p=0.0162)。

 OS期間中央値は、FLOT群がECF/ECX群よりも有意に延長した(50ヵ月[95%信頼区間[CI]:38.33~未到達]vs.35ヵ月[27.35~46.26]、ハザード比[HR]:0.77、95%CI:0.63~0.94、p=0.012)。2、3、5年OS率は、FLOT群がそれぞれ68%、57%、45%、ECF/ECX群は59%、48%、36%であった。このFLOTの治療効果は、すべてのサブグループで一致して認められた。また、無病生存期間中央値もFLOT群で有意に優れた(30ヵ月 vs.18ヵ月、0.75、0.62~0.91、p=0.0036)。

 治療に関連する可能性のあるGrade3/4の有害事象のうち、FLOT群で多かったのは、感染症(18 vs.9%)、好中球減少(51 vs.39%)、下痢(10 vs.4%)、末梢神経障害(7 vs.2%)であり、ECF/ECX群で多かったのは、悪心(7 vs.16%)、嘔吐(2 vs.8%)、血栓塞栓イベント(3 vs.6%)、貧血(3 vs.6%)であった。また、治療関連の重篤な有害事象(手術のための入院期間中のものも含む)の発現状況は、両群で同等であった(FLOT群97例[27%]vs.ECF/ECX群96例[27%])。毒性による入院は、それぞれ89例(25%)、94例(26%)に認められた。

 著者は、「本試験の結果は、有効な治療選択肢の幅を広げるものである」としている。

(医学ライター 菅野 守)

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コメンテーター : 上村 直実( うえむら なおみ ) 氏

国立国際医療研究センター国府台病院 名誉院長

東京医科大学 消化器内視鏡学講座 兼任教授

J-CLEAR評議員

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