外来がん患者でのリバーロキサバンの血栓予防効果/NEJM

Khoranaスコアが2以上の高リスク外来がん患者に対し、リバーロキサバンの投与により、試験期間180日間において、静脈血栓塞栓症や静脈血栓塞栓症による死亡などのリスクに有意な低下はみられなかったことが報告された。一方でリバーロキサバン投与期間中については、同イベントの発生は約6割低下し、重大出血の発生も低かった。米国・クリーブランドクリニックのAlok A. Khorana氏らが、800例超を対象に行った第III相無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果で、NEJM誌2019年2月21日号で発表した。全身性のがん治療を受けている外来患者は、静脈血栓塞栓症について異なるリスクが認められる。一方で、これらの患者の血栓予防のベネフィットについては確認されていなかった。
下肢近位DVT、肺塞栓症、静脈血栓塞栓症による死亡などの複合エンドポイントを比較
研究グループは、静脈血栓塞栓症リスクの指標となるKhoranaスコアが2以上の、高リスク外来がん患者を対象に試験を行った。スクリーニング時点で深部静脈血栓症(DVT)の認められなかった被験者を無作為に2群に分け、一方にはリバーロキサバン(10mg)を、もう一方の群にはプラセボを、最長180日間まで連日投与し、8週間ごとにスクリーニングを実施した。
主要有効性エンドポイントは、客観的に確認された下肢近位DVT、肺塞栓症、症候性上肢DVTまたは下肢遠位DVT、静脈血栓塞栓症による死亡の複合エンドポイントで、180日目まで評価した。
同集団を対象にした事前規定の補助解析では、投与期間中(試験薬の初回投与から最終投与プラス2日後まで)の同複合エンドポイントを評価した。
主要安全性エンドポイントは、重大出血とした。
投与期間中のエンドポイント発生リスク、リバーロキサバン群は6割低下に
試験に登録された1,080例のうち、49例(4.5%)にスクリーニング時に血栓症が認められた。無作為化を受けた841例のうち、180日目までに主要エンドポイントが発生したのは、リバーロキサバン群420例中25例(6.0%)、プラセボ群421例中37例(8.8%)だった(ハザード比[HR]:0.66、95%信頼区間[CI]:0.40~1.09、p=0.10)。
事前規定の投与期間中についての解析では、主要エンドポイントの発生は、リバーロキサバン群11例(2.6%)、プラセボ群27例(6.4%)だった(HR:0.40、95%CI:0.20~0.80)。
重大出血の発生は、リバーロキサバン群405例中8例(2.0%)、プラセボ群404例中4例(1.0%)だった(HR:1.96、95%CI:0.59~6.49)。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)
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コメンテーター : 後藤 信哉( ごとう しんや ) 氏
東海大学医学部内科学系循環器内科学 教授
J-CLEAR理事