血糖降下強化療法は有害:ACCORD

提供元:ケアネット

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公開日:2008/06/25

 

2型糖尿病患者の糖化ヘモグロビン値と心血管イベントとの関連はこれまで疫学研究で示されている。2型糖尿病の大規模試験ACCORD(The Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes)研究グループは、糖化ヘモグロビン値を正常化するための強化療法が心血管イベントを減らすかどうかを検討していたが、死亡リスクが増大し試験は中止に至った。NEJM誌2008年6月12日号(オンライン版2008年6月6日号)より。

患者1万251例を強化療法群と標準治療群に割り付け




試験は、糖化ヘモグロビン値の中央値8.1%の患者計1万251例(平均年齢62.2歳、女性38%、心血管イベント経験35%)を、強化療法(糖化ヘモグロビン値の目標値6.0%未満)または標準治療(同7.0~7.9%)に無作為に割り付け行われた。

主要転帰は、非致死的な心筋梗塞、非致死性の脳卒中、または心血管系の原因による死亡の複合。

死亡率は上昇し心血管イベントの減少はわずか




本試験は、平均3.5年の追跡調査後、強化療法群の死亡率が標準治療群よりも高まったため試験は中断されるに至った。

試験開始1年目に、糖化ヘモグロビン値は強化療法群では6.4%、標準治療群では7.5%の安定した中央値が達成された。

しかし追跡調査の間に、主要転帰の発生が、強化療法群では352例、標準治療群では371例でハザード比は0.90(95%信頼区間:0.78~1.04、P=0.16)。

一方、死亡に関しては、標準治療群では203例だったのに対し強化療法群では257例発生し、ハザード比は1.22(95%信頼区間:1.01~1.46、P=0.04)だった。また強化療法群のほうが、低血糖症および10kg以上の体重増加の頻度が高かった(P<0.001)。

研究グループは「強化療法を3.5年間行っても死亡率の上昇が認められ、主要心血管イベントは有意に減少しなかった。これまで認められていなかった害が確認された」と結論している。

(武藤まき:医療ライター)