肺動脈性肺高血圧症へのselexipag、第III相で有効性確認/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2016/01/14

 

 肺動脈性肺高血圧症(PAH)の患者へのselexipag(国内承認申請中)投与は、エンドセリン受容体拮抗薬などによる治療の有無にかかわらず、死亡または合併症の複合エンドポイントの発生リスクを有意に低下したことが示された。なお死亡単独でみると有意差は認められなかった。フランス・ビセートル病院のOlivier Sitbon氏らによる第III相の無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果、報告した。selexipagは、経口IPプロスタサイクリン受容体選択的作動薬で、第II相試験でPAHに対する有用性が示されていた。NEJM誌2015年12月24日号掲載の報告。

全死亡または合併症の複合エンドポイントをプラセボと比較
 研究グループは、PAH患者1,156例を無作為に2群に分け、一方にはselexipagを個別化用量で(最大1,600μg、1日2回)、もう一方にはプラセボをそれぞれ投与した。被験者は、PAH治療を受けていないか、エンドセリン受容体拮抗薬、またはホスホジエステラーゼ5阻害薬のいずれかまたは両方を、安定用量で服用している患者だった。

 主要評価項目は、治療期間終了までの全死亡またはPAH関連合併症の複合エンドポイントとした。

エンドポイント発生リスク、selexipag群で4割減
 その結果、同エンドポイントの発生は全体で397例、発生率はプラセボ群が41.6%に対し、selexipag群は27.0%と有意に低率だった(ハザード比:0.60、99%信頼区間[CI]:0.46~0.78、p<0.001)。エンドポイントの内訳をみると、病勢進行と入院で81.9%を占めていた。

 ベースラインで未治療の群と、エンドセリン受容体拮抗薬/ホスホジエステラーゼ5阻害薬で治療を行っていた群で比較したサブグループ解析において、主要評価項目の発生率は同等だった。

 なお試験終了までの全死因死亡の発生は、プラセボ群が105例、selexipag群が100例と、同程度だった。

 有害事象による治療中断の発生は、プラセボ群7.1%、selexipag群14.3%だった。selexipag群の有害事象としては、頭痛、下痢、吐き気、顎関節痛などでいずれも既知のものだった。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)