ACR高値とCHD再発の関連は人種差がない/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2013/08/30

 

 尿中アルブミン排泄量(ACR)高値と冠動脈疾患(CHD)との関連について、黒人のほうが同関連は強いが、CHD再発については黒人と白人で差はなかったことが、米国・アラバマ大学のOrlando M. Gutierrez氏らによる前向きコホート研究の結果、明らかにされた。これまで同関連の人種間差について、ACR高値は白人よりも黒人において一般的であり、脳卒中リスクがより強いことは報告されていた。今回の検討は、CHDとの関連が不明であったことから行われたが、結果を踏まえて著者は、「黒人のほうが、より血管が損傷されやすいことが確認された」と結論している。JAMA誌2013年8月21日号掲載の報告より。

ベースライン時のCHD有無でACRとCHDの人種間差の関連を検討
 研究グループは、ACRとCHDの関連について人種間による違いがあるかについて検討するため、2003~2007年に行われたReasons for Geographic and Racial Differences in Stroke (REGARDS)研究に登録されていた黒人および白人の45歳以上米国成人について、2009年12月31日まで追跡した前向きコホート研究を行った。

 検討では、(1)ベースライン時にCHDを有していなかった2万3,273例におけるCHDイベント、(2)ベースライン時にCHDを有していた4,934例における初回再発イベントについて評価した。

 主要評価項目は、専門医によって確認された心筋梗塞(MI)の初発または再発イベント、および急性CHD死であった。

ACR>300mg/gの初発CHD発生率は黒人が白人の1.5倍
 追跡期間中央値4.4年の間に、CHDイベントは616例(非致死的MIが421例、CHD死が195例)、再発CHDは468例(同279例、189例)が発生した。

 ベースライン時にCHDを有していなかった被験者の補正後(年齢、性)1,000人年当たりCHD発生率は、経時的かつACRが高値であるほど、黒人白人被験者ともに上昇がみられた。

 また、ACRで階層化し検討したところ、同最高値(>300mg/g)群において、黒人被験者の発生率(20.59、95%信頼区間[CI]:14.36~29.51)は白人被験者の発生率(13.60、95%CI:7.60~24.25)と比べて、約1.5倍の格差が認められた。

 従来心血管リスク因子と薬物治療について補正した比例ハザードモデルの分析の結果、ベースライン時のACR高値は、黒人被験者においてCHD発生リスクとの関連(ACR>300 vs. <10mg/gのハザード比[HR]:3.21、95%CI:2.02~5.09)が、白人の同関連(同:1.49、0.80~2.76)と比べて有意に強かった(p=0.03)。

 一方、ベースライン時にCHDを有していた被験者においては、ベースライン時のACRと初回再発CHDイベントの関連(完全補正後)は、黒人被験者(ACR>300 vs. <10mg/gのHR:2.21、95%CI:1.22~4.00)と白人被験者(同:2.48、1.61~3.78)で同程度であった(p=0.53)。

原著論文はこちら

Gutierrez OM et al. Association Between Urinary Albumin Excretion and Coronary Heart Disease in Black vs White Adults. JAMA. 2013 Aug 21;310(7): 706-13.