臨床試験で示されるvery large effects、その特色は?

提供元:ケアネット

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公開日:2012/11/05

 

 大半の医療行為がもたらす影響はささやかなものであるが、臨床試験では有効性または有害事象に関して、ときに非常に大きな影響(very large effects)をもたらす可能性が示される。ブラジル・German Hospital Oswaldo CruzのTiago V. Pereira氏らは、そのようなlarge effectsが示される試験頻度と特色を評価した。その結果、large effectsが示されるのは小規模試験がほとんどで、追試験をするとその効果サイズは概して小さくなっていた。Pereira氏は「よく確認されたlarge effectsというのはまれであり、多くは非致死的アウトカムに関したものであった」とまとめた。JAMA誌2012年10月24・31日号掲載より。

very large effects(オッズ比≧5)の有意差(p<0.05)について評価
Cochrane Database of Systematic Reviews(CDSR)2010年issue 7から、すべての介入比較の二者択一アウトカムを示したフォレストプロットを抽出した。

初回試験、その後の試験(最初ではない試験)で、名目上の統計的なvery large effects[オッズ比(OR)が≧5]の有意差(p<0.05)が一致するのか、また有意差を示さない試験がどれくらいあるのかなどを調べた。評価を徹底するため、初回、その後、有意差を示さなかった各試験群から無作為に250トピックを抽出して検証も行った。

very large effectsを示した試験の、治療の種類とアウトカムを評価し、very large effectsが他の同テーマの試験でどの程度みられるのか、またメタ解析でのeffectsと比べてどの程度なのかを調べた。

p<0.001でエビデンスに懸念のない死亡率に関するvery large effectsな介入は1つ
8万5,002例のフォレストプロットを抽出(3,082レビューから)し解析した。

有意なvery large effectsを示したのは、初回公表試験で8,239例(9.7%)であり、初回以降公表試験では5,158例(6.1%)であった。7万1,605例(84.2%)はvery large effectsを示さなかった。

名目上のvery large effectsの有意差は、概してイベント発生中央値が少数の小規模試験でみられた(初回公表試験18件、その後の試験15件)。

very large effectsを示したトピックは、死亡率について言及したトピックがその他のトピックよりも少ない傾向がみられた(初回試験3.6%、その後の試験3.2%、有意なvery large effectsを示さなかった試験では11.6%)。一方で、ラボ定義の有効性に言及したものは多い傾向がみられた(同10%、10.8%、3.2%)。

初回試験のvery large effectsと、その後の試験のvery large effectsは同程度ではない傾向がみられた。またその他の試験を組み込んだメタ解析では、very large effectsは初回試験のものは90%に、その後試験のものは98%に縮小した。オッズ比中央値でみると、前者は11.88から4.20に、後者は10.02から2.60に減少した。

選択トピック500のうち46(初回とその後の試験の9.2%)がvery large effectsを有し、メタ解析でも有意差がp<0.001を維持したが、いずれも死亡率関連のアウトカムには関与しなかった。

全CDSRで、死亡率に関するvery large effectsをp<0.001を伴い、エビデンスの質に対する重大な懸念がなかったものは1つの介入(新生児の重症呼吸不全に対する体外酸素加法)のみであった。

(武藤まき:医療ライター)