電話によるうつ病の認知行動療法、対面療法よりも中断率は低いが……

提供元:ケアネット

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公開日:2012/06/19

 

大うつ病性障害に対する、電話による認知行動療法は、対面による同療法と比較して、治療アドヒアランスは改善されることが示された。一方で、両群18週治療後のフォローアップ6ヵ月時点の効果は同等であった。米国・ノースウエスタン大学のDavid C. Mohr氏らが、300人超について行った前向き無作為化比較試験の結果、報告したもので、JAMA誌2012年6月6日号で発表した。電話による認知行動療法の効果について、対面の場合との効果を比較した研究はほとんど行われていなかったという。

18週間の認知行動療法、両群で終了率を比較
Mohr氏らは、2007年11月~2010年12月にかけて、シカゴ周辺に住む大うつ病性障害325人について、無作為化比較試験を開始した。被験者は18歳以上で、ハミルトンうつ病評価尺度(Ham-D)は16以上だった。

被験者を無作為に2群に分け、一方には対面による認知行動療法(対面CBT)を、もう一方の群には電話による認知行動療法(T-CBT)を行った。

主要アウトカムは、治療開始18週時点の、CBTセッション18回の終了または中断だった。副次アウトカムは、Ham-Dと、9つのうつ病質問票(PHQ-9)によるうつ状態の自己評価だった。

中断率は電話によるCBTが低率、効果は対面と同等
結果、治療を中断した人の割合は、対面CBT 群が32.7%(53人)に対し、T-CBT群が20.9%(34人)と、有意に低率だった(p=0.02)。両群ともに、うつ状態には有意な改善が認められた(p<0.001)。治療後のうつ症状は、Ham-D、PHQ-9ともに両群で有意差はなかった(それぞれ、p=0.22、p=0.89)。

T-CBT群は、Ham-D、PHQ-9ともに対面CBT群に対して非劣性を示した。

フォローアップ6ヵ月時点で、両群ともに治療開始時点よりうつ状態は改善していたが(p<0.001)、対面CBT群のほうがT-CBT群がよりも、うつ状態が軽症だった(Ham-D格差:2.91、95%信頼区間:1.20~4.63、p<0.001、PHQ-9格差:2.12、同:0.68~3.56、p=0.004)。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)