脊椎管狭窄症をめぐる手術 vs 非手術の比較研究

提供元:ケアネット

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公開日:2008/03/05

 

Spine Patient Outcomes Research Trial(SPORT)は、全米11州13医療施設(脊椎専門クリニック)から集まった研修者によって立ち上げられたスタディで、脊椎診療に関する多方面からの研究を行っている。本論は同研究チームからの、脊柱管狭窄症をめぐる外科的治療 vs 非外科的治療の比較研究の報告。脊椎管狭窄症手術は広く行われているが、非外科的治療との効果の検証結果はこれまで示されていなかった。NEJM誌2008年2月21日号に掲載。

外科的治療対象者を無作為コホートあるいは観察コホートに割り付け2年追跡




比較研究は無作為化試験にて、13の脊椎専門クリニックの患者を対象に行われた。最低でも12週にわたる症状を訴え、脊椎管狭窄症の既往歴があり、画像診断で脊椎すべり症ではないと確認され外科的治療の候補となった患者を、無作為コホートもしくは観察コホートのいずれかに登録。治療は減圧術か一般的な非外科的治療が施された。

主要評価項目は、36項目からなるQOL評価票SF-36(Medical Outcomes Study 36-item Short-Form General Health Survey6)を用いて身体的疼痛スコアと身体機能スコアを、および腰痛評価法で用いられるOswestry Disability Index(ODI)にて評価。6週、3ヵ月、6ヵ月、1年、2年の時点におけるスコアおよび指標が測定された。

手術の治療効果が有意に高い




各群の登録患者は、無作為コホート289例、観察コホート365例。

2年時点において、手術群に無作為割り付けされた患者のうち、実際に手術を受けたのは67%。非外科的治療に割り付けられた患者も43%が手術を受けていた。

無作為コホートの全例解析からは、対象者が割り付けられた治療を完結していない、あるいははじめから受けていないといった割合が高かったにもかかわらず、手術の治療効果が有意に高いことが示された。SF-36の身体疼痛スコアのベースラインからの変化の平均差は7.8(95%信頼区間:1.5~14.1)に上る。ただし身体機能スコアやODIに有意差はなかった。

また両コホートを統合し因子を補正した上で行われたas-treated解析からは、3ヵ月時点まで、すべての主要評価項目について手術のほうが有意に優れていることが示され、その有意性は2年の時点まで保たれていた。

研究チームは、「手術を受けた患者のほうが、非外科的治療患者よりすべての主要評価項目について有意な改善を示した」と結論づけている。

(武藤まき:医療ライター)