MTX抵抗性関節リウマチに対する生物学的製剤のアドオン治療2年後の結果:Swefot試験

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2012/05/17

 

メトトレキサート(MTX)抵抗性の関節リウマチ(RA)患者では、生物学的製剤インフリキシマブ(商品名:レミケード)の追加治療は、従来の疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)の追加治療に比べ2年後の手足の画像所見が良好なことが、スウェーデン・カロリンスカ研究所のRonald F van Vollenhoven氏らが進めるSwefot試験のフォローアップ解析で示された。同試験の治療1年後の解析で確認された同薬追加による臨床アウトカムの改善効果は、2年後にはみられなかった。Lancet誌2012年5月5日号(オンライン版2012年3月29日号)掲載の報告。

Swefot試験の2年フォローアップ解析
Swefot試験は、MTX抵抗性のRA患者に対する従来のDMARDsの追加治療と生物学的製剤の追加治療の有用性を比較する非盲検無作為化試験。今回、2年間のフォローアップ解析が行われた。

2002年12月~2006年12月までに、スウェーデンの15施設から症状発現1年以内の18歳以上のRA患者が登録され、全例にMTX(20mg/週)が投与された。3~4ヵ月後にMTX治療が無効であった患者(DAS 28≧3.2)を、従来治療群(MTXにスルファサラジン[1,000mg×2回/日]+hydroxychloroquine[400mg/日]を追加)あるいは生物学的製剤群(MTXにインフリキシマブ[3mg/kg/日、初回、2、6週、以後8週ごと]を追加)に1対1の割合で無作為に割り付けた。

米国リウマチ学会(ACR)および欧州リウマチ学会(EULAR)の効果判定基準を用いて18、24ヵ月後の臨床アウトカムを評価し、Sharp/Van der Heijdeスコアで12、24ヵ月後の手足のX線画像所見の検討を行った。

従来のDMARDsのアドオン治療も適切な選択肢
487例が登録され、従来治療群に130例が、生物学的製剤群には128例が割り付けられた。

治療18ヵ月におけるEULAR判定基準によるgood response率は、従来治療群が29%(38/130例)、生物学的製剤群は38%(49/128例)でリスク比1.31(95%信頼区間[CI]:0.93~1.85)、治療24ヵ月ではそれぞれ31%(40/130例)、38%(49/128例)であり(p=0.204)、いずれも有意な差は認めなかった。

ベースラインから治療24ヵ月までのSharp/Van der Heijdeスコアによる画像上の病勢進行は、従来治療群の7.23に対し生物学的製剤群は4.00と有意に良好だった(p=0.009)。重篤な有害事象は3例に認められた(従来治療群1例、生物学的製剤群2例)。

著者は、「初回MTX治療が無効であったRA患者に対し、生物学的製剤追加治療は妥当な選択肢である」と結論したうえで、「生物学的製剤群は治療24ヵ月の画像所見が良好であったが、治療12ヵ月にみられた臨床アウトカムの有意な改善効果は、24ヵ月後には消失しており、コストは実質的に増大したことを十分に考慮すべきである。従来のDMARDsのアドオン治療も、MTX抵抗性RA患者の適切な治療選択肢である」と考察を加えている。

(菅野守:医学ライター)