プライマリ・ケア施設でのCD4ポイント・オブ・ケア検査、HIV陽性例の治療前追跡不能率が低下

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2011/11/10

 



HIV陽性例におけるCD4細胞検査を、検査施設ではなくプライマリ・ケアの現場でのポイント・オブ・ケア検査とすることで、患者登録後の迅速なCD4ステージングが可能となり、抗レトロウイルス療法開始前に追跡不能となる患者が減少したことが、モザンビークInstituto Nacional da SaúdeのIlesh V Jani氏らの調査で明らかとなった。低所得国では抗レトロウイルス療法開始前に追跡不能となるHIV陽性例が増加しており、治療普及上の課題となっている。追跡不能となった患者を見つけ出すことは困難で、費用がかかり、非効率的でもあるため、追跡不能の防止に焦点を当てた検討が進められている。Lancet誌2011年10月29日号(オンライン版2011年9月26日号)掲載の報告。

治療導入前の患者保持を評価するコホート試験




研究グループはアフリカ・モザンビークにおいて、CD4細胞のポイント・オブ・ケア検査が、免疫学的診断や治療導入の前に追跡不能となる患者の保持に及ぼす影響を検討する観察的コホート試験を行った。

HIV治療およびCD4のポイント・オブ・ケア検査を行う4つのプライマリ・ケア施設の患者記録から、HIVの管理や抗レトロウイルス療法導入の登録データをレトロスペクティブに抽出した。

治療導入前の準備段階における追跡不能率および準備期間を調査し、CD4ポイント・オブ・ケア検査開始前のベースラインのデータと比較した。

治療前の追跡不能患者率が半分に低下




CD4のステージングを完了する前に追跡不能となった患者の割合は、CD4ポイント・オブ・ケア検査導入前の57%(278/492例)から導入後は21%(92/437例)まで低下した(調整オッズ比:0.2、95%信頼区間:0.15~0.27)。

抗レトロウイルス療法開始前の追跡不能患者率も、CD4ポイント・オブ・ケア検査導入前の64%(314/492例)から導入後には33%(142/437例)まで低下した(調整オッズ比:0.27、95%信頼区間:0.21~0.36)。抗レトロウイルス療法導入患者の登録率は、12%(57/492例)から22%(94/437例)へ上昇した(調整オッズ比:2.05、95%信頼区間:1.42~2.96)。

登録から抗レトロウイルス療法導入までの期間(中央値)は、CD4ポイント・オブ・ケア検査導入の前後で48日から20日へと短縮しており(p<0.0001)、その主な理由はCD4ステージングに要する期間(中央値)が32日から3日まで低下したためであった(p<0.0001)。

CD4ステージングから抗レトロウイルス療法開始までの期間における追跡不能患者率には有意な変化は認めなかった(調整オッズ比:0.84、95%信頼区間:0.49~1.45)。

著者は、「CD4ポイント・オブ・ケア検査の導入により、患者登録後の診療所の現場における迅速なCD4ステージングが可能となり、治療前に追跡不能となる患者が減少した」と結論し、「CD4ポイント・オブ・ケア検査は治療前の追跡不能率の改善に有効な介入法となる可能性がある」と指摘している。

(菅野守:医学ライター)