推奨量より少ない運動でも、平均寿命が延長

提供元:ケアネット

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公開日:2011/10/13

 



余暇時間における身体活動(leisure-time physical activity; LTPA)は、たとえそれが推奨運動量より少なくても、健康状態を改善し平均寿命の延長をもたらすことが、台湾・国立健康研究所のChi Pang Wen氏と国立体育大学のJackson Pui Man Wai氏らの調査で示された。LTPAが健康状態を改善することはよく知られており、アメリカ(2008年)やWHO(2010年)の身体活動ガイドラインでは平均150分/週以上のLTPAが推奨されている。アメリカの成人の3分の1がこの推奨運動量を実行しているのに対し、東アジア人(中国、日本、台湾)の達成率は5分の1以下にすぎないが、推奨量より少ない運動が平均寿命に及ぼす影響は明らかではないという。Lancet誌2011年10月1日号(オンライン版2011年8月16日号)掲載の報告。

41万人以上の成人を8年以上追跡した前向きコホート試験




研究グループは、台湾の地域住民において身体活動量が健康に及ぼす影響を評価するプロスペクティブなコホート試験を実施した。

1996~2008年までに、台湾の標準的な検診プログラムに参加した20歳以上の41万6、175人(女性:21万6,910人、男性:19万9,265人)について、平均8.05(SD 4.21)年の追跡調査を行った。参加者は、自己記入式質問票に記述した1週間の運動量に基づき、5つのカテゴリー(AinsworthらのMET[metabolic equivalent]の定義で運動強度を判定して1週間の運動量を算出。身体活動なし[非運動群]、少ない[low群]、普通[medium群]、多い[high群]、たいへん多い[very high群])のうちの1つに分類された。

非運動群との比較における4つの群の死亡リスクのハザード比を算出し、平均寿命を推算した。推奨される150分/週よりも運動量が少ない場合の生存ベネフィットの評価を行った。

low群で全死因死亡、平均余命が改善




92分/週(95%信頼区間:71~112)あるいは15分/日(SD 1.8)の運動群(low群)では、非運動群に比べて全死因死亡率が14%低下し、平均寿命が3年延長した。最低でも15分/日以上の運動量の集団では、運動量がさらに15分/日増加するごとに全死因死亡率が4%(95%信頼区間:2.5~7.0)ずつ低下し、がんによる死亡率が1%(同:0.3~4.5)ずつ減少した。

これらのベネフィットは全年齢の男女および心血管疾患リスクを有する集団でも認められた。非運動群は、low群に比べ死亡リスクが17%(ハザード比:1.17、95%信頼区間:1.10~1.24)増加していた。

著者は、「15分/日、90分/週という推奨される運動量よりも少ないlow群および心血管疾患リスクのある群で生存ベネフィットが確認された」と結論し、「少ない運動量であっても、非伝染性疾患との世界的な戦いにおいて重要な役割を担っており、医療コストや医療格差の低減に寄与する可能性がある」と指摘している。

(菅野守:医学ライター)