内科レジデント、精神的・肉体的疲弊が強い実態が明らかに:全米調査

提供元:ケアネット

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公開日:2011/09/20

 



内科レジデントに関する全米調査の結果、そのQOLは最適状態にはほど遠く、燃え尽き症候群が一般的にみられることが明らかになった。メイヨークリニックのColin P. West氏らの調査結果による。燃え尽き症候群は、高額な負債と関連しており、海外医学部卒業生ほどその頻度が高く、また、低QOL、情緒的疲弊、学費の負債は、内科知識に関する自己評価「IM-ITE」が低スコアであることも認められたという。これまでの医師の精神的・肉体的疲弊は、患者の治療にネガティブな影響をもたらすことが明らかになっているが、全米レベルでの実態調査は行われていなかった。JAMA誌2011年9月7日号掲載報告より。

2008~2009年度の全米内科レジデント1万6,394人の「well-being」を調査




調査は、内科レジデントの「well-being」を全米サンプリング調査により測定し、実態的人口統計学に、また学費の負債および医学知識との関連を評価することを目的とし、2008~2009年のIM-ITE(Internal Medicine In-Training Examination)スコアと2008年のIM-ITE調査のデータを用いて行われた。

被験者総数は1万6,394人で、2008~2009年度の全米内科レジデントの74.1%に相当した。またそのうち米国の医学部卒業生は7,743人、海外の医学部卒業生は8,571人だった。

QOL、燃え尽き症候群について、修学年、性、医学校の所在地、学費の負債、IM-ITEスコアとの関連を割り出し評価した。

学費の負債、燃え尽き症候群の少なくとも1つの理由に




QOLが「相当悪い」「やや悪い」と回答したのは、2,402人/1万6,187人(14.8%)だった。

また、燃え尽き症候群は8,343人/1万6,192人(51.5%)、高度な情緒的疲弊は7,394人/1万6,154人(45.8%)、喪失感は4,541人/1万5,737人(28.9%)がそれぞれあると回答していた。

多変量モデル解析で、燃え尽き症候群は、米国医学部卒業生よりも海外医学部卒業生のほうが少なかった[45.1%対58.7%、オッズ比:0.70、99%信頼区間(CI):0.63~0.77、p<0.001]。

学費の負債は、燃え尽き症候群の少なくとも1つの理由となっていた(61.5%対43.7%、オッズ比:1.72、99%CI:1.49~1.99、20万ドル超の負債の負債なしに対するp<0.001)。

QOLが「相当悪い」と回答したレジデントのIM-ITEスコアは、QOLが「相当よい」と回答したレジデントと比べ2.7ポイント(99%CI:1.2~4.3、P<0.001)低く、また「情緒的疲弊が毎日ある」と回答したレジデントの同スコアは、「情緒的疲弊がない」と回答したレジデントと比べて4.2ポイント(同:2.5~5.9、P<0.001)低かった。「20万ドル超の負債がある」と回答したレジデントの同スコアは、「負債がない」と回答したレジデントよりも5.0ポイント(同:4.4~5.6、P<0.001)低かった。

スコア差は学年が進むにつれて有意な増大が認められた。レジデント1年目から2年目への増大は4.1ポイント(99%CI、3.9~4.3、P<0.001)、2年目から3年目へは2.6ポイント(同、2.4~2.8、P<0.001)であった。

(武藤まき:医療ライター)