早産児に、早期CPAPも選択の余地あり

提供元:ケアネット

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公開日:2010/06/09

 



早産児に、生後2時間以内にサーファクタントを投与することで死亡や気管支肺異形成症を低減できることが示されていることから、予防的治療として早期サーファクタント療法が行われるようになっている。しかし超早産児では挿管を必要とする場合もあってCPAP(持続陽圧呼吸療法)が検討されたり、また、より早期のサーファクタント療法群では筋緊張が高頻度にみられたり寝返り動作がなかなかできるようにならないといった報告もある。そこで米国のSUPPORT Study Group of the Eunice Kennedy Shriver NICHD Neonatal Research Networkが、超早産児1,316例を対象に、早期CPAPと早期サーファクタント治療とを比較する多施設共同無作為化試験を行った。NEJM誌2010年5月27日号(オンライン版2010年5月16日号)掲載より。

1,316例を、「早期CPAP」群、「挿管+早期サーファクタント」群に無作為化し転帰を比較




研究グループは、2005年2月~2009年2月の間に、在胎24週0日~27週6日で生まれた超早産児1,316例を対象に、2×2多施設共同無作為化試験を行った。対象児は無作為に、挿管後サーファクタント療法(生後1時間以内)を受ける群(早期サーファクタント群:653例)か、CPAPを分娩室で開始し換気治療戦略のプロトコールに従い実行された群(早期CPAP群:663例)に割り付けられた。またその後、両群児は、酸素飽和度目標範囲「85~89%」群(在胎24週0日~25週6日:565例)か、「91~95%」群(在胎26週0日~27週6日:751例)にも割り付けられた。

主要転帰は、36週までの死亡もしくは気管支肺異形成症の複合転帰とした。気管支肺異形成症は、酸素補充を必要とした児(酸素補充30%未満で酸素補充離脱を試みた児も含む)と定義された。

死亡、気管支肺異形成症発症に、両群で有意差はない




主要複合転帰は、在胎期間、施設、家族内集積で補正後も、両群間で有意差は認められなかった。「早期CPAP」群47.8%、「早期サーファクタント」群51.0%、相対リスクは0.95(95%信頼区間:0.85~1.05)だった。

気管支肺異形成症の発症についても両群で同様だった。発症率は同48.7%、54.1%、相対リスクは0.91(同:0.83~1.01)だった。

早期CPAPを受けた早産児の方が、挿管や気管支肺異形成症のための副腎皮質ステロイド投与の頻度が少なく(P<0.001)、機械的人工呼吸器を要した日数が少なく(P=0.03)、機械的人工呼吸器を必要とせず生後7日間生存した割合が高い傾向(P=0.01)が認められた。

その他の新生児有害転帰発生について、両群間で有意差は認められなかった。

研究グループは、「挿管後早期サーファクタント療法に代わるものとして、早期CPAPを検討することを支持する結果が得られた」と結論している。

(医療ライター:武藤まき)