肥満と飲酒は相乗的に肝疾患リスクを増大する

提供元:ケアネット

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公開日:2010/04/02

 



アルコール消費量とBMIは、相乗的に肝疾患リスクを増大するようだ。英国グラスゴー大学地域医療部門公衆衛生・ヘルス政策のCarole L Hart氏らが1万人近いスコットランド人男性が参加した2つの前向きコホート試験データを解析し、報告した。BMJ誌2010年3月20日号(オンライン版2010年3月11日号)掲載より。

平均47歳スコットランド人男性1万弱を29年追跡




解析が行われたのは、男性9,559例(平均年齢47.3±9.55歳)が参加した「Midspan」と呼ばれる2つの前向きコホート試験。1つ目の「Main」試験は、1965~1968年にスコットランド中心地帯の職場、タイリー島および本島の住民が参加し行われた(参加者年齢:14~92歳)。2つ目は「Collaborative」試験で、1970~1973年にグラスゴー、クライドバンク、グランジマウスにある27の職場から参加者が集められ行われた(同:21~75歳)。

両試験参加者は2007年12月31日まで、平均29年(範囲:0.13~42年)追跡された。

参加者は、BMI値(25未満:やせ/標準体重、25~<30:過体重、≧30:肥満)と、アルコール消費量(非飲酒、1~14、≧15単位/週;1単位はビール1/2本)で、9グループに振り分けられ、肝疾患罹患率、死亡率について検討された。

BMIとアルコール消費量とも数値が高い人ほどリスク増




主因が肝疾患だった死亡は80例(0.8%)、原因を問わない肝疾患死亡は146例(1.5%)だった。

「Collaborative」試験では、196例(3.3%)が、肝疾患による死亡、入院またはがんだった。BMI(P=0.001)とアルコール消費量(P<0.0001)は、解析における交絡因子補正後も、肝疾患死亡との強い関連が認められた。

BMIを問わず週15単位以上の飲酒者、また肥満で飲酒者は、やせ/標準体重・非飲酒者を基準(1とする)とし比較すると、すべての肝疾患罹患率が高かった。相対比でみると、週15単位以上飲酒者の肝疾患死亡率は、やせ/標準体重では3.16、過体重では7.01、肥満では18.9。一方、週1~14単位飲酒で肥満者の肝疾患罹患率は、5.3だった。

BMIとアルコール消費量との相互作用による超過相対リスクは5.58(相乗効果指標で2.89)だった。

Hart氏は、「この相乗的に高まるリスクについて、ヘルスプロモーションおよび公衆衛生指針で知らせるべきだ」と結論している。