5つの推奨項目でできるカテーテル関連血流感染症の発生低下

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2010/03/12

 



集中治療室(ICU)での中心静脈カテーテルに関連した血流感染症は、医療従事者の感染防止意識と手技によってある程度防ぐことができるとされ、継続的な質向上への取り組みが広く行われはじめている。ジョンズ・ホプキンス大学のPeter J Pronovost氏らは、状況を評価するため、米国ミシガン州病院協会の「Keystone ICU project」に参加するICUが、カテーテル関連血流感染症の発生率低下をどれだけ維持できているかを評価する観察研究を行った。BMJ誌2010年2月27日号(オンライン版2010年2月4日号)に掲載された。

ごく一般的な感染防止5項目の順守を求める




研究対象となったのは米国ミシガン州にある67病院、103ユニットのICU。介入の具体的な内容は、カテーテル関連血流感染症発生率を低下させるためのエビデンスに基づいた5つの推奨項目(手洗いの実行、穿刺部の完全消毒、クロルヘキシジンによる皮膚消毒、できるだけ大腿部を避ける、不必要なカテーテルの抜去)を医療従事者に順守させることで、感染率の測定とフィードバックが指示された。介入の継続期間中は、スタッフ・オリエンテーションで繰り返し介入内容の確認を行うよう求め、院内感染対策スタッフから感染率の月次データを回収し、関係者に報告を行った。

主要評価項目は、継続期間(介入実施後19~36ヵ月)中、四半期ごとの1,000カテーテル・日当たりのカテーテル関連血流感染症発生率とした。

介入実施後18ヵ月以降も血流感染症の低下を維持




103ユニットのうち90ユニット(87%)が参加し、継続期間中の集中治療期間は延べ1,532ヵ月、30万310カテーテル・日分のデータが報告された。

その結果、カテーテル関連血流感染症発生率の平均値と中央値は、ベースラインでは7.7と2.7(四分位範囲0.6~4.8)だったものが、介入実施後16~18ヵ月には1.3と0(同:0~2.4)、34~36ヵ月には1.1と0(同:0.0~1.2)まで低下した。

マルチレベル回帰分析の結果、介入実施後の血流感染症罹患率比は0~3ヵ月に0.68(95%信頼区間:0.53~0.88)に、16~18ヵ月には0.38(同:0.26~0.56)に、34~36ヵ月には0.34(同:0.24~0.48)に低下した。また、継続期間中の平均血流感染率は、最初の介入実施後18ヵ月以降は有意な変化がなかった(-1%、95%信頼区間:-9%~7%)。

これらの結果から研究グループは、最初の18ヵ月の実施期間に達成されたカテーテル関連血流感染症の減少率がその後の18ヵ月間も継続したのは、研究に参加したICUが実践に介入を組み込んだためであると結論し、この介入が広く導入され同様の結果が達成できれば、カテーテル関連血流感染症の罹患率と経済的損失を大幅に低下させることに結びつくだろうと述べている。