米国子どもの肥満・慢性疾患有病率の動向

提供元:ケアネット

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公開日:2010/03/02

 



肥満や慢性疾患を有する米国2~14歳児の割合は、1988~2006年の間で増加傾向にあることが、米国マサチューセッツ総合病院青少年保健政策センターのJeanne Van Cleave氏らの調べで明らかになった。また肥満や慢性疾患は、必ずしも長年にわたり継続しているのではなく、追跡調査期間6年の中で新規発症や完治といった動きが多いこともわかったという。JAMA誌2010年2月17日号で発表した。

3コホートにつき各6年間追跡




Cleave氏らは、1988~1994年(コホート1)、1994~2000年(コホート2)、2000~2006年(コホート3)の3期間にわたり、前向きコホート試験を行った。被験者数は、それぞれ、2,337人、1,759人、905人で、試験開始時点の年齢は2~8歳、追跡期間はいずれも6年だった。

被験者の子どもの健康状態を、学校を欠席したり、薬や特別な医療サービスなどによる治療が12ヵ月以上継続したものについて、被験者の親により報告してもらった。肥満の定義は、BMIが同年齢の95パーセンタイル以上とした。また慢性疾患については、肥満、喘息、その他の身体的状態、行動や学習に関する問題――の4カテゴリーに分類した。

新規発症は直近6年のコホートで最高、男子は女子の1.24倍




各コホート試験の終了時点における有病率は、コホート1が12.8%(95%信頼区間:11.2~14.5)、コホート2が25.1%(同:22.7~27.6)、コホート3が26.6%(同:23.5~29.9)だった。

全コホートにおいて、試験開始時から終了時まで肥満や慢性疾患が持続していたのは7.4%(同:6.5~8.3)に留まった。一方、試験開始時に認められた肥満・慢性疾患が、その後6年以内に完治したのは、9.3%(同:8.3~10.3)だった。半面、試験開始時点には肥満・慢性疾患が認められなかったものの、その後6年間で発症したのは同13.4%(同:12.3~14.6)だった。

試験期間中のどこかの時点で肥満・慢性疾患が認められた子どもの割合は、コホート3で最も高く、51.5%だった。同割合はまた、男子(補正後オッズ比:1.24)、ヒスパニック系(同:1.36)、黒人(同:1.60)で高率だった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)