急性冠症候群に対するticagrelor対クロピドグレル

提供元:ケアネット

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公開日:2009/09/30

 



新規抗血小板剤ticagrelorは、アデノシン二リン酸レセプター(ADP)のP2Y12を選択的に阻害する経口薬として、クロピドグレルよりも、すみやかな作用と顕著な血小板抑制作用があるとされる。本論は、急性冠症候群患者を対象とした、両剤の効果と有害イベント発生率を比較する第III相臨床試験PLATO試験の報告。NEJM誌2009年9月10日号(オンライン版2009年8月30日号)で掲載された。

ticagrelor群、1年後の心血管イベントが有意に減少




多施設共同二重盲検無作為化試験としてデザインされた本試験は、急性冠症候群で入院中の18,624例の患者(ST上昇の有無にかかわらず)を対象とし、ticagrelor投与群(初期量180mg、その後1日2回90mg)と、クロピドグレル投与群(初期量300~600mg、その後1日1回75mg)との、心血管イベント防止効果を比較した。

結果、12ヵ月後の主要エンドポイント(心血管死・心筋梗塞・脳卒中の複合)を比較したところ、クロピドグレル投与群では11.7%がエンドポイントに達したのに比べ、ticagrelor投与群は9.8%にとどまった(ハザード比:0.84、95%信頼区間:0.77~0.92、P<0.001)。

副次エンドポイントのあらかじめ規定していた階層的検証で、その他複合エンドポイントの発生率についても同様に有意差が見られた。また、心筋梗塞(ticagrelor群対クロピドグレル群:5.8%対6.9%、P = 0.005)、心血管死(同:4.0%対5.1%、P = 0.001)それぞれ単独指標でも有意差がみられた。ただし脳卒中単独では有意差は認められなかった(同:1.5%対1.3%、P = 0.22)。

全死因死亡率についても同じく、ticagrelor群のほうがより低かった(同:4.5%対5.9%、P<0.001)。

ticagrelor群、手技関連の出血が増加




有害イベントに関しては、ticagrelor群とクロピドグレル群の間に大出血の発生率に有意差はなかった(11.6%対11.2%、P = 0.43)が、ticagrelorと大出血の高率な発生との関連が認められた(4.5%対3.8%、P = 0.03)。大出血発生は、冠動脈バイパス術とは関連していなかった。致死的頭蓋内出血が多く、その他の致命的な出血はわずかだった。

これらの結果から報告では、「ST上昇の有無にかかわらず急性冠動脈症候群患者のticagrelorによる治療は、クロピドグレルと比較して、全体として大出血発生率の増加を伴うことなく、心血管死、心筋梗塞、脳卒中を有意に低下する。ただし、非手技関連の出血が逆に増加していた」と結論づけている。

(医療ライター:朝田哲明)