プライマリ・ケアでのがん兆候症状と非がん診断

提供元:ケアネット

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公開日:2009/09/11

 



英国King’s College London School of Medicine一般診療/プライマリ・ケア部門のRoger Jones氏らは、プライマリ・ケアでのがん兆候症状と非がん診断に関するコホート研究を行った。兆候症状を呈している患者の大半が臨床的に意味ある診断を下されていると報告している。BMJ誌2009年8月29日号(オンライン版2009年8月13日号)掲載より。

15歳以上の762,325例が参加




Jones氏らは、プライマリ・ケアで定められている非がん・がん診断のための兆候症状の適中率を評価した。一般診療(GP)調査データベース(1994~2000年、GP128人から提供)を用いて行われたコホート研究は、15歳以上の762,325例が参加し行われた。

主要転帰尺度は、事前に15の兆候症状を定めたうえで、非がん診断と4つの兆候症状(血尿、喀血、嚥下障害、直腸出血)との関連について、90日時点、最初の兆候症状が記録されてから3年後時点で調査した。各転帰の解析は、time to eventで別々に行われた。データは、患者が死亡・診療から外れた・試験期間終了に達したいずれかの時点で検閲された。

血尿、喀血、嚥下障害、直腸出血のファーストエピソード例について解析




血尿(11,108例)、喀血(4,812例)、嚥下障害(5,999例)、直腸出血(15,289例)のファーストエピソード例のデータについて解析が行われた。

結果、兆候症状を呈した患者での非がん診断は、ごく普通に見られた。また、がんあるいは非がんいずれの診断率は、一般に年齢とともに増加していた。

血尿症状がある患者の90日以内での、がん・非がん診断率は、女性で17.5%(95%信頼区間:16.4%~18.6%)、男性で18.3%(17.4%~19.3%)だった。

その他の症状については、喀血例では、同25.7%(23.8%~27.8%)、24%(22.5%~25.6%)。嚥下障害例では、同17.2%(16%~18.5%)、22.6%(21%~24.3%)。直腸出血例では、同14.5%(13.7%~15.3%)、16.7%(15.8%~17.5%)だった。

Jones氏は、「兆候症状を呈している患者では、高い割合で臨床的に意味ある診断を下されている。血尿、喀血、嚥下障害または直腸出血の症状を呈している患者群での合同診断評価には患者4~7人が必要である。また90日以内に1人の患者は、臨床的に意味ある診断が下されているようである」と結論している。