プライマリ・ケアにおけるCOPDの予後評価に有用な指標を開発

提供元:ケアネット

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公開日:2009/09/10

 



プライマリ・ケアにおける慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予後評価では、改訂BODEインデックス(BMI、気道閉塞、呼吸困難、運動能)およびその簡略版であるADOインデックス(年齢、呼吸困難、気道閉塞)が有用であることが、アメリカJohns Hopkins Bloomberg公共健康医学部疫学科のMilo A Puhan氏らが実施した2つのコホートを対象とした検討で判明した。BODEインデックスはCOPDの予後評価にさかんに活用されているが、このインデックスで予測された死亡リスクが実際の死亡率と一致するか否かを検討した試験はないという。Lancet誌2009年8月29日号掲載の報告。

Swissコホートに基づく改訂および簡略インデックスをSpanishコホートで検証




研究グループは、BODEインデックスのキャリブレーション(リスクスコアを用いて予測された絶対リスクを、他の集団における実際のリスクと比較すること)の評価を行い、プライマリ・ケアで用いる簡略版の妥当性について検討した。

Swiss Barmelweidコホート(罹病期間が長期にわたる重症COPD患者)から232例が、Spanish Phenotype and Course of COPDコホート(中等症~重症COPDで初回入院中の患者)から342例が登録された。

両コホートにおいて、実際の3年全原因死亡リスクとBODEインデックスで予測されたリスクの比較を行った。次いで、Swissコホートのデータに基づきBODEインデックスを改訂して、年齢、呼吸困難、気道閉塞から成る簡略なADOインデックスを策定し、さらにこれらのインデックスの妥当性をSpanishコホートのデータを用いて検証した。

オリジナルBODEの正確度は低いが、改訂BODEとADOは良好




BODEインデックスのキャリブレーションは不良であり、3年死亡リスクの相対的予測値はSwissコホートで36%、有意に低く(予測リスク中央値:21.7%、実際のリスク34.1%、p=0.013)、Spanishコホートでは39%有意に高かった(予測リスク中央値:16.7%、実際のリスク12.0%、p=0.035)。

改訂されたBODEインデックスによる予測3年死亡リスクは10.7%、簡略化されたADOインデックスでは11.8%であり、いずれもSpanishコホートにおける実際の死亡率とよくマッチした(それぞれp=0.99、p=0.98)。

著者は、「オリジナルのBODEインデックスは、スイスとスペインの2つのコホートにおけるCOPDによる死亡率を正確に予測しなかったが、改訂BODEインデックスとADOインデックスはいずれも高い正確度を示した。これらの指標は、プライマリ・ケアにおけるCOPD患者の予後評価に有用な可能性があり、この予後評価によって個々の患者の治療ターゲットが明確になる」と結論している。

(菅野守:医学ライター)