パーティーやクラブで音楽を聞きながらの飲酒は気分を高揚させるものだが、心臓には悪い影響があるかもしれない。ドイツのミュンヘンで大量飲酒をした健康な若者の5%以上に、飲酒後24時間以内に臨床的に重要な不整脈が認められたとする研究結果が報告された。ルートヴィヒ・マクシミリアン大学(LMU)ミュンヘン(ドイツ)のStefan Brunner氏らによるこの研究結果は、「European Heart Journal」に10月4日掲載された。
論文の筆頭著者であるBrunner氏と上席著者であるLMU大学病院のMoritz Sinner氏は、2015年に、ミュンヘンの有名なオクトーバーフェスト中に調査を行い、飲酒が心拍リズムに与える影響を研究したことがある。ただ、この研究では、心電図(ECG)の単回測定の結果を頼りに結論が導き出されていた。
今回の研究では、携帯型のECGデバイスにより、外出先での飲酒により呼気アルコール濃度(BAC)が1.2g/kg以上になる可能性が高い18歳以上の若者202人の48時間分の心拍リズムが追跡された。ECGデータは、飲酒前(ベースライン;0時間)、飲酒期間(ベースラインから1〜5時間後)、回復期間(同6〜19時間後)、および飲酒期間と回復期間のそれぞれから24時間後に相当する2つのコントロール期間(同25〜29時間後と30〜43時間後)に分けて解析された。なお、研究グループによると、研究参加者は、ECG測定時にはお祭り気分であったものの、得られたデータの質は全体的に高かったという。
ECGデータが不十分だった9人を除外した193人(平均年齢29.9±10.6歳、女性36%)を対象に解析を行った。その結果、心拍数は、ベースライン時で平均89.5±12.6回/分だったのが、飲酒中には最高で平均97.0±16.2回/分にまで上昇していたことが判明した。また、参加者の5.2%(10/193人)で、臨床的に重要な不整脈が検出されたことも明らかになった。これらの不整脈は、主に回復期間に生じていた。
こうした結果を受けてSinner氏は、「アルコールは、心臓の自律的な調整プロセスに深刻な影響を与えるようだ」と話す。一方、Brunner氏は、「われわれの研究は、心臓病学の観点から、アルコールの急激な過剰摂取が健康に与える悪影響を明らかにするものだ」と述べている。ただし、研究グループは、飲酒に関連する不整脈が心臓の健康に及ぼす長期的な悪影響については、さらなる研究で検討する必要があると述べている。
[2024年10月14日/HealthDayNews]Copyright (c) 2024 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら