うつ病患者は、自殺や就労障害のリスクが高いため、発症後できるだけ早期に適切な治療を提供することがきわめて重要である。これまでのオンライン検索動向に基づくうつ病への関心に関する研究は、時間的変化や地域差に焦点を当てたものがほとんどで、検索クエリの内容に焦点を当てた分析は限られていた。横浜市立大学のRikako Shimizu氏らは、日本におけるうつ病に関するオンライン検索動向を明らかにし、うつ病に対する社会的な認識と臨床診断における症状構成概念との関連性を調査することを目的とし、本研究を実施した。PloS One誌2026年5月12日号の報告。
Yahoo! JAPANより入手したデータを用い、2022年1月〜2024年12月における「うつ病」を含む検索クエリの検索ボリュームに関する記述的観察研究を実施した。毎年うつ病に関する上位500件の検索クエリの検索量およびうつ病と併記された症状に関する検索クエリの検索量を比較した。これらの症状は、国際プライマリケア分類第2版(ICPC-2)の「第1成分:症状と愁訴」に基づいて分類した。さらに、ICPC-2に基づいて分類された症状は、精神疾患の診断・統計マニュアル第5版(DSM-5-TR)におけるうつ病の診断基準に合致するかどうかで分類した。
主な内容は以下のとおり。
・「うつ病の症状」の検索量は、「うつ病」単独の検索量よりも多かった。
・うつ病と併記された症状の多くは、DSM-5-TRにおけるうつ病の診断基準と合致していた。
・とくに、臨床現場でもよくみられる睡眠障害が、最も頻繁に併記された症状であった。
著者らは「オンライン上でのうつ病の症状に対する一般の認識は、臨床診断の概念とある程度一致している可能性が示唆された。オンライン検索データは、プライマリケアの現場において、患者がうつ病の症状をどのように認識し、どのように捉えているかを臨床医が理解するのに役立つ可能性がある」としている。
(鷹野 敦夫)