認知症は、認知機能の低下とそれに伴う行動・心理症状(BPSD)を特徴とする疾患であり、社会問題として深刻化している。大阪・脳神経内科はつたクリニックの初田 裕幸氏は、日本の関西地方に在住する認知症患者855例を対象に、プロ野球の試合結果とBPSDの変化との関連を調査するため、探索的レトロスペクティブ研究を実施した。Geriatrics & Gerontology International誌2026年5月号の報告。
主な内容は以下のとおり。
・阪神タイガースファンの認知症患者19例において、2023年のセントラルリーグ優勝後、BPSDスコアの有意な低下が認められた。
・さらに詳細な分析では、攻撃的・侮辱的な言葉の使用、無関心・無気力、興奮・焦燥感、昼夜逆転、抑うつ・憂鬱な気分といった症状の有意な低下が認められた。
・これらの結果から、感情的に影響を及ぼすスポーツイベントが、お気に入りのチームに強い愛着を持つ認知症患者のBPSDの変化と関連している可能性が示唆された。
著者らは「サブグループの規模や研究デザインに制約はあるものの、本結果は、とくに注目度の高いスポーツイベント観戦が、認知症ケアにおける行動症状に測定可能な影響をもたらす可能性を示唆するものであり、今後のプロスペクティブ研究でさらに調査する必要があるという予備的な証拠を提供するものである」としている。
(鷹野 敦夫)