神戸大学の木村 丈司氏らは、日本における多剤併用に関する診療報酬改定が高齢患者の睡眠薬の長期処方に及ぼす影響を評価するため、本研究を実施した。Geriatrics & Gerontology International誌2026年2月号の報告。
対象は、50歳以上の外来および入院患者。JMDC医療機関データベースを用いて分析を行った。対象とした睡眠薬は、ベンゾジアゼピン系睡眠薬(BZD)、Z薬、ラメルテオンおよびオレキシン受容体拮抗薬(ラメルテオン/ORA)。2015~22年の各月における、外来および入院患者1万人当たりの睡眠薬新規処方率(4週間以上)を算出した。診療報酬改定が行われた2020年4月を介入点として、中断時系列分析を実施した。
主な結果は以下のとおり。
・2015~22年までのデータベースにおける外来および入院の平均患者数は、1ヵ月当たり82万8,510例であった。
・2015年1月から2022年12月にかけて、BZDとZ薬の処方率は、それぞれ210から125、111から78.6へと徐々に減少していた。しかし、ラメルテオン/ORAの処方率は、7.41から54.4へと増加していた。
・介入時点では、BZDの処方率は1.08倍(95%信頼区間[CI]:1.02~1.13)、Z薬の処方率は1.12倍(95%CI:1.08~1.16)の有意な増加を認めた。しかし、介入後には傾斜の変化に有意な減少が認められた(BZD:0.990倍[95%CI:0.988~0.992]、Z薬:0.994倍[95%CI:0.993~0.996])。
・ラメルテオン/ORAは、増加傾向にあった傾斜の変化が、介入後に有意な減弱を認めた(0.991倍[95%CI:0.986~0.995])。
著者らは「多剤併用に関連する診療報酬改定は、BZD、Z薬、およびラメルテオン/ORAの長期的な処方傾向を有意に減少する方向へと転換させていた」としている。
(鷹野 敦夫)