地域在住のアルツハイマー病患者を対象とした先行研究では、認知症における重度の神経精神症状(NPS)と介護負担との関連が報告されている。鹿児島県・あいらの森ホスピタルの永田 智行氏らは、日本における地域在住のアルツハイマー病患者の家族介護負担、認知症のNPS、介護サービスの利用状況の現状を調査した。Psychogeriatrics誌2026年3月号の報告。
地域在住のアルツハイマー病患者の同居家族介護者を対象に、2023年11月13~27日にウェブベースの質問票を用いて調査を実施した。パネルデータに登録された8,108人の参加者の中から、705人の家族介護者(年齢範囲:19~79歳)を抽出した。参加者は、神経精神医学的評価尺度(Neuropsychiatric Inventory-Brief Questionnaire)の日本語版に回答した。
主な結果は以下のとおり。
・家族介護者の平均年齢は、54.6±11.5歳、男性の割合が56.9%であり、84.0%がアルツハイマー病の親または義理の親を介護していた。
・アルツハイマー病患者の平均年齢は、84.2±8.8歳、男性の割合が26.2%であった。NPSを有する患者は90.6%、そのうち73.4%に多動性(焦燥、脱抑制、易刺激性、異常な運動行動)が認められた。
・NPSを有する患者の介護者による週当たりの平均介護時間は、NPSのない患者の場合と比較し、長かった(24.1±22.1時間vs.17.6±14.0時間)。
・NPSを有する患者の介護者では、NPSのない患者の介護者よりも、看護ケア支援サービスへの不満が高かった。
・多動性のマネジメントのために、介護者の11.3%が投薬を行い、11.5%が患者を静かな環境に移動させた。一方、16.6%の介護者は対処方法がなかった。
・多動性への対応として「投薬を行った」と回答した介護者のうち、32.1%が介護スタッフまたは医療従事者を呼んで経口薬を投与し、18.9%が患者を医療機関に連れて行き、注射または点滴治療を受けさせていた。
著者らは「NPSを有するアルツハイマー病患者の介護は、NPSのない患者と比較し、介護期間の延長、看護ケアサービスの利用率の高さ、看護ケア支援サービスへの不満との関連が認められた」としている。
(鷹野 敦夫)