EGFR遺伝子変異陽性の局所進行または転移を有する非小細胞肺がん(NSCLC)において、局所地固め療法(LCT)の有効性や、LCTのベネフィットを受ける集団は、十分に検討されていない。そこで、未治療のEGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者を対象に、導入療法後のオシメルチニブ+LCTの有用性を検討する海外第II相無作為化比較試験「NorthStar試験」が実施されている。本試験の1次解析では、LCTの追加により主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)が改善したことが示された。また2次解析の結果、導入療法後のリンパ節転移の消失や胸水の消失が、LCTの有効性の予測因子となる可能性が示された。欧州肺がん学会(ELCC2026)において、Saumil N. Gandhi氏(米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンター)が本試験の2次解析の結果を報告した。
・試験デザイン:海外第II相無作為化比較試験
・対象:未治療の局所進行または転移を有するEGFR遺伝子変異(exon19欠失またはL858R)陽性のNSCLC患者のうち、導入療法としてオシメルチニブ(6~12週間)が投与され、病勢進行が認められなかった患者
・試験群(LCT群):LCT(放射線療法または手術)+オシメルチニブ継続(56例)
・対照群:オシメルチニブ継続(63例)
・評価項目:
[主要評価項目]PFS
[2次解析の評価項目]安全で効果的な放射線療法の実施方法、LCTによるベネフィットが得られる患者の予測因子、LCT後の再発パターン など
主な結果は以下のとおり。
・対象患者のうち、ベースライン時(導入療法開始前)に転移数が3以下であった割合は29%、3超であった割合は71%であった。LCT群に割り付けられた患者のうち、ベースライン時の転移数が3超であった患者の59%がLCTを完遂した。
・1次解析においてPFS中央値はLCT群25.3ヵ月、対照群17.5ヵ月であり、LCT群でPFSが改善した(ハザード比[HR]:0.66、片側90%信頼区間[CI]:0.50~0.87)。
・LCT群のうち、放射線療法を受けた患者の約80%が放射線療法の期間もオシメルチニブを継続していたが、Grade1~3の肺臓炎の発現割合は約17%と許容可能であった。肺V20Gy(20Gy以上の線量が照射される肺の体積割合)が25%以上の患者では肺臓炎が44%(4/9例)に発現したのに対し、25%未満の患者では7%(2/29例)であり、肺V20Gy 25%以上で肺臓炎リスクが高かった(p<0.007)。
・原発巣に対する放射線の生物学的実効線量(BED)が高い場合、PFSが良好であった。PFS中央値はBED 75Gy以上の集団49.1ヵ月、BED 75Gy未満の集団22.3ヵ月であった(HR:0.31、90%CI:0.14~0.70、p=0.006)。
・導入療法後のPET/CTまたはCTに基づくリンパ節転移の消失は、LCT群の良好なPFSと関連していた。PFS中央値はリンパ節転移消失の集団49.1ヵ月、リンパ節転移残存の集団22.3ヵ月であった(HR:0.34、90%CI:0.15~0.76、p=0.011)。
・導入療法後にリンパ節転移が残存していた集団では、LCTの追加によるPFSの延長は認められなかった。この集団のPFS中央値はLCT群19.0ヵ月、対照群15.9ヵ月であった(HR:0.93、90%CI:0.60〜1.43)。一方、リンパ節転移が消失した患者では、LCT群でPFSの改善がみられた(41.5ヵ月vs.19.6ヵ月、HR:0.43、90%CI:0.23~0.78、p=0.008)。
・導入療法後に胸水が残存していた集団では、LCTの追加によるPFSの延長は認められなかった。この集団のPFS中央値はLCT群15.3ヵ月、対照群12.9ヵ月(HR:0.90、90%CI:0.52〜1.55)であった。無作為化時点で胸水がない集団では、LCT群でPFSが良好な傾向がみられた(32.7ヵ月vs.22.3ヵ月、HR:0.63、90%CI:0.39~1.02)。
・LCT群における再発は、局所領域のみの再発は約20%であり、大部分が遠隔転移であった。
(ケアネット 佐藤 亮)