既治療のKRAS G12C変異陽性の転移大腸がん(mCRC)において、選択的KRAS G12C阻害薬ソトラシブと抗EGFR抗体パニツムマブの併用療法は、第III相CodeBreaK 300試験および第Ib相CodeBreaK 101試験において有用性が示され、すでに米国と日本において承認されている。今回、本レジメンのアジア人に対する有用性と、長期にわたる臨床的ベネフィットが確認された。第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO 2026)において九州がんセンターの江崎 泰斗氏がアジア人サブグループ解析の結果を、国立がん研究センター東病院の久保木 恭利氏が両試験を統合した長期生存解析の結果を報告した。
江崎氏らは、ソトラシブ960mg(連日)+パニツムマブ6mg/kg(2週間ごと)の投与を受けた両試験のアジア人15例(アジア人群)とその他地域の参加者(その他群)78例を対象に、有効性と安全性を比較する事後解析を実施した。試験デザインは、CodeBreaK 300試験が治療歴を有するKRAS G12C変異陽性mCRC患者を対象にソトラシブ+パニツムマブと既存治療を比較したランダム化試験であり、CodeBreaK 101試験が用量探索と有効性、安全性を評価した多施設共同試験である。評価項目には、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、奏効率(ORR)、安全性が含まれた。
主な結果は以下のとおり。
・ORRはアジア人群で33%(95%信頼区間[CI]:12~62)、その他群で29%(95%CI:20~41)であり、アジア人においても高い奏効が示された。
・病勢コントロール率(DCR)はアジア人群で87%(95%CI:60~98)、その他群で79%(95%CI:69~88)であった。
・PFS中央値はアジア人群で8.3ヵ月(95%CI:2.8~推定不能)、その他群で5.7ヵ月(95%CI:4.2~7.4)であった。
・OS中央値はアジア人群で15.2ヵ月(95%CI:8.7~推定不能)、その他群で12.6ヵ月(95%CI:10.7~18.4)であった。
・Grade3以上の治療関連有害事象(TRAE)の発現率はアジア人群で20%、その他群で39%であり、アジア人において低い傾向が認められた。アジア人群における主なTRAE(20%以上)は、ざ瘡様皮膚(53%)、発疹(40%)、低マグネシウム血症(33%)、下痢(27%)であった。
久保木氏らは、両試験においてソトラシブ+パニツムマブによる治療を受けた患者93例を対象に、2年OS、後治療、安全性の解析を行った。CodeBreaK 300試験の追跡期間中央値は28ヵ月、CodeBreaK 101試験は38ヵ月だった。
主な結果は以下のとおり。
・統合解析におけるOS中央値は13.2ヵ月(95%CI:10.8~15.2)であり、既存の標準治療であるトリフルリジン・チピラシルやレゴラフェニブと比較して臨床的に意義のある改善が示された。
・2年OS率は23%(95%CI:14.5~32.3)で、生存曲線は後方でプラトーを形成しており、一部の患者で長期生存が得られる可能性が示唆された。
・長期フォローアップにおいても新たな安全性の懸念は認められず、毒性は管理可能であった。
・後治療を受けた患者は53%であり、患者の3分の1は、試験終了後にトリフルリジン・チピラシルまたはレゴラフェニブを投与された。
江崎氏は「以上の結果から、ソトラシブ+パニツムマブ併用療法は、アジア人を含むKRAS G12C変異陽性の既治療mCRC患者に対して、一貫して良好な有効性と安全性を示すことが確認された」。久保木氏は「本レジメンは長期にわたって有用であり、化学療法抵抗性KRAS G12C変異大腸がん患者における標準治療としての位置付けが確認された。現在、本レジメンの1次治療としての有効性を検証する第III相試験(CodeBreaK 301試験)が進行中であり、さらなる治療の進展に期待する」とまとめた。
(ケアネット 杉崎 真名)