閾値下うつ症状は、双極症患者の機能回復を著しく阻害することが知られている。これまでの多くの研究では、これらの症状が機能に与える影響を評価するために全体的スコアが用いられてきた。スペイン・サン・パウ病院のC. M. Bonnin氏らは、寛解期双極症患者において、どの閾値下うつ症状が最も機能回復を阻害するのかを検証するため、本研究を実施した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2026年2月14日号の報告。
対象は、双極症患者413例。17項目からなるハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)を用いて閾値下うつ症状を評価し、機能評価簡易検査(FAST)を用いて心理社会的機能を測定した。HAM-Dの項目に加え、機能障害に関連するその他の臨床的および人口統計学的変数を同定するために、二変量解析を行った。二変量解析において有意な関連を示した変数を用いて、多変量線形回帰分析を実施した。
主な結果は以下のとおり。
・FAST合計スコアの線形回帰モデルでは、「精神運動遅滞」(項目8)が心理社会的機能と最も強い関連を示し(β=6.9、p<0.001)、次いで「罪悪感」(項目2)(β=5.75、p<0.001)、「仕事と活動」(項目7)(β=5.38、p<0.001)、「身体不安」(項目11)(β=3.45、p<0.001)が続いた。
・その他の有意な臨床変数は、抗精神病薬の使用、高齢、教育歴の少なさ、男性などであった。
・このモデルは、FAST合計スコアの分散の39.6%を説明した(R2=0.396、調整R2=0.375、F(399.13)=20.04、p<0.001)。
著者らは「精神運動遅滞、アパシー、罪悪感、身体不安といった特定の閾値下症状は、心理社会的機能に有意な影響を及ぼすことが示唆された。本知見は、患者が臨床的に安定している場合であっても、機能回復の達成には、これらの症状を具体的に標的とすることの重要性を強調している」としている。
(鷹野 敦夫)