アルツハイマー病患者における認知症の行動・心理症状(BPSD)は、介護者の負担、ひいてはケアの質に深刻な影響を及ぼす可能性がある。東京慈恵会医科大学の品川 俊一郎氏らは、日本のアルツハイマー病患者の介護者において、BPSDおよびBPSDのサブタイプと介護者の負担およびQOLとの関連を明らかにするため、本研究を実施した。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2026年1月28日号の報告。
本調査では、マクロミルに登録されているアルツハイマー病患者の同居介護者を対象に、ウェブベースのアンケートを実施した。BPSDの有病率は、Neuropsychiatric Inventory-Questionnaire(NPI-Q)の日本語版を用いて測定した。介護者の負担、健康関連QOL、ソーシャルケア関連QOLを評価するため、それぞれZarit介護者負担尺度日本語版(J-ZBI)、EQ-5D-5L、介護者向け成人ソーシャルケア成果ツールキット(ASCOT-Carer)を用いた。
主な結果は以下のとおり。
・回答者705人中、BPSDを有する患者を介護していたのは639人(90.6%)、BPSDのない患者を介護していたのは66人(9.4%)であった。
・介護者の平均年齢は54.6歳であり、男性の割合が56.9%、両親または義理の両親を介護していた人の割合は84.0%であった。
・BPSDを有する患者を介護していた人は、BPSDのない患者を介護していた人と比較し、J-ZBIスコアが高かった(平均差[MD]:6.7、95%信頼区間[CI]:4.5〜9.0、p<0.001)。一方、EQ-5D-5Lスコア(MD:-0.076、95%CI:-0.134〜-0.018、p=0.010)およびASCOT-Carerスコア(MD:-0.101、95%CI:-0.168〜-0.033、p=0.003)は低かった。
著者らは「日本のアルツハイマー病患者の介護者において、介護負担増加とBPSDの間に有意な関連が示された。これは、日本の介護者の医療および社会福祉関連QOLの低下と関連している可能性を示唆している」としている。
(鷹野 敦夫)