インフルエンザの感染伝搬について、個人的および環境的要因が及ぼす影響について評価したカナダ・マクマスター大学のNushrat Nazia氏らによる研究の結果、高年齢であることはとくにB型インフルエンザ感染において防御的に働く可能性が示された。また環境・地理的要因がインフルエンザ感染に与える影響はウイルスの型ごとに異なっていた。Influenza and Other Respiratory Viruses誌2026年2月号掲載の報告。
本研究は、カナダの厳格なキリスト教徒「フッター派(Hutterite)」のコミュニティを対象に行われた。同コミュニティは外部との接触が少なく、ライフスタイルが共通した単一的で明確な集団構造を持つ。Nazia氏らは、「階層構造を明確に定義できる」という特性を活かすことで、一般的な社会では困難な、集団と個人の各要因が感染リスクに与える影響をより高い精度で推論可能な点が本研究の強みとしている。
2008年のインフルエンザシーズンにおける、カナダの46のフッター派コロニーに属する3,271例のデータが解析された。PCR検査で確定されたインフルエンザA型およびB型の週別症例について、人口統計学的要因、ワクチン接種状況、地理的および気象条件との関連を検討した。解析には、コロニーのクラスタリングと時間的自己相関を考慮したIntegrated Nested Laplace Approximations(INLA法)によるマルチレベル・ベイズ階層モデルが使用された。
主な結果は以下のとおり。
・3,271例(平均年齢26歳、女性43.5%、インフルエンザワクチン接種率24.3%)中、239例(7.3%)がPCR検査によりインフルエンザと確定された(A型:128例、B型:111例)。
・年齢の高さによる防御的な効果が認められ、インフルエンザB型(相対リスク[RR]:0.93、95%信用区間[CrI]:0.91~0.95)ではインフルエンザA型(RR:0.99、95%CrI:0.98~1.00)よりも強い効果が認められた。
・男性は女性と比較してわずかに感染リスクが低かった。
・いずれのモデルにおいても、個別ワクチン接種による予防効果は認められなかった。しかし、コロニー単位でのワクチン接種群への割り当ては、すべてのインフルエンザ(RR:0.29、95%CrI:0.10~0.83)およびインフルエンザA(RR:0.17、95%CrI:0.04~0.62)の感染リスクの大幅な低下と関連していたが、インフルエンザBでは関連がみられなかった。
・最寄りの都市までの距離と標高は、感染リスク低下と弱い関連を示したが、不確実性が大きく、その関連は限定的であった。
・前週の気温の高さは、インフルエンザAの感染リスク低下(RR:0.91、95%CrI:0.86~0.95)およびインフルエンザBの感染リスク上昇(RR:1.19、95%CrI:1.09~1.31)と関連していた。
(ケアネット 遊佐 なつみ)