重症筋無力症(MG)の治療において、補体第5成分(C5)を標的とする低分子干渉RNA(siRNA)薬cemdisiranの、単独療法(12週ごと皮下投与)および抗C5抗体pozelimab(4週ごと投与)との併用療法は、いずれも有効であり概して忍容性は良好であることが、米国・サウスフロリダ大学のTuan Vu氏らNIMBLE Trial Investigatorsが行った第III相二重盲検無作為化プラセボ対照試験「NIMBLE試験」の結果で示された。自己免疫疾患であるMGは、抗体を介した補体活性化により病態形成が促進されることから、抗体の抑制もしくは補体活性を阻害する標的療法の開発が進んでいる。NIMBLE試験では、MGで多くみられるアセチルコリン受容体(AChR)抗体陽性の全身型MG患者を対象に、cemdisiranの単独療法およびpozelimabとの併用療法の有効性、安全性を評価した。結果を踏まえて著者は、「12週ごと皮下投与のcemdisiranは、全身型MG治療における新たな選択肢となる可能性がある」と述べている。Lancet誌2026年5月2日号掲載の報告。
日本を含む13ヵ国86施設で第III相試験、単独および抗C5抗体との併用を評価
NIMBLE試験は、日本を含む13ヵ国86施設で行われた。18歳以上で全身型MGと診断された、抗AChR抗体または抗LRP4抗体が陽性で、重症筋無力症日常生活動作(MG-ADL)スコアが6以上の患者を登録した。
研究グループは被験者を、cemdisiran単独療法群(12週ごと600mg投与)、pozelimab単独療法群(4週ごと200mg投与)、cemdisiran(4週ごと200mg投与)+pozelimab(4週ごと200mg投与)併用療法群、またはプラセボ群に無作為に割り付けた。全例で24週の二重盲検試験期間中、皮下投与にて治療が行われた。
主要エンドポイントは、ベースラインから24週時点までのMG-ADLスコアの変化量で、主要解析は修正ITT集団(いずれかの投与を受け、少なくとも1回ベースライン後評価を受けた245例)を対象とした。評価には、事前に規定された階層的統計検定戦略が用いられ、cemdisiran単独群vs.プラセボ群、併用群vs.プラセボ群の比較について多重性が調整された(pozelimab単独群は、プラセボ群と比較した統計的検定は行われず、併用群における寄与の評価のみに用いられた)。
24週時点のMG-ADL総スコア、cemdisiran単独群のほうが変化が大きい
2022年1月20日~2025年7月18日に、390例がスクリーニングされ、本報告のデータカットオフ時点(2025年7月8日)で、284例が無作為化された(cemdisiran単独群79例[28%]、pozelimab単独群50例[18%]、併用群80例[28%]、プラセボ群75例[26%])。277例がいずれかの試験薬の投与を受け、263例(95%)が二重盲検試験期間を完了した。
修正ITT集団において、24週時点で、MG-ADL総スコアの最小二乗平均変化量は、cemdisiran単独群(64例)が-4.5(SE 0.4)、併用群(67例)が-4.0(SE 0.4)、プラセボ群(59例)は-2.2(SE 0.5)であった。24週時点のMG-ADL総スコアのプラセボとの補正後最小二乗平均群間差は、cemdisiran単独群が-2.3(SE 0.7、95%信頼区間[CI]:-3.6~-1.0、p=0.0005)、併用群が-1.7(SE 0.7、95%CI:-3.0~-0.4、p=0.0086)であった。
二重盲検試験期間中に少なくとも1件の有害事象を報告した被験者の割合は、cemdisiran単独群54/78例(69%)、併用群65/80例(81%)、pozelimab単独群40/49例(82%)、プラセボ群54/70例(77%)であった。
cemdisiran単独群で最も多くみられた有害事象は、上気道感染症(9/78例[12%])で、プラセボ群と同程度であった(8/70例[11%])。cemdisiran単独群では、重篤な感染症または髄膜炎菌感染症の発現は報告されなかった。治療中止に至った有害事象は、プラセボ群で2例(3%)、pozelimab単独群で1例(2%)が報告された。
二重盲検試験期間中に死亡は報告されなかったが、二重盲検試験期間終了後に2例の死亡が報告された。そのうち1例について、治験責任医師は治療に関連したものと評価したが、治験依頼者は治療に関連したものではないと評価している。
(ケアネット)